eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

2018-11-20から1日間の記事一覧

しゃいに兄弟の砂時計 45

九月~金木犀 人混みに流されしゃいに兄弟は体育館の外に押し出され無言で校門を出て駅まで歩いた 駅のホームのベンチに並んで座った所でミノが口を開いた 「…すごかったね」 「別人だったな」 ステージ上のテミンは素晴らしかった 「俺さ、テミンって何か現…

しゃいに兄弟の砂時計 44

九月~初秋 体育館は大混雑だった暗幕が引かれた薄暗い空間に音響のテスト音が途切れ途切れに流れる中生徒や保護者、見学者のざわめきが重なり興奮に満ちていた 「席、取っておいてもらって良かったな」 「うん、座れなかったよこれじゃ」 最前列の中央付近…

しゃいに兄弟の砂時計 43

九月~初秋 「すっげえ人だな」 オニュ、ミノ、ジョンヒョンが連れ立って訪れたのはテミンが通う高校だった 正門を入ってすぐに焼き鳥、たこ焼き、フランクフルトの焼き物系屋台が並び反対側にはアイスクリームやタピオカかき氷の屋台が並んでいた 並んで歩…

しゃいに兄弟の砂時計 42

八月~透水 「流すぞー!!」 オニュが叫んだ じゃんけんで決めた各自のポジションにつき兄弟は待機した 特等席の一番手はジョンヒョン縁側で座りながら素麺を掴める最高のポジション 次に庭に降りてテミンとミノの順番で立っていた 素麺の塊が竹幅いっぱい…

しゃいに兄弟の砂時計 41

八月~透水 「でね!それがすごい長くてびっくりでどっから持ってきたんだ~ってジョンヒョ二ヒョンが言ったんだってー オニュヒョン、嬉しそうなわけ!ミノヒョンがどうすんの、これってなって~」 「ねえ。ねえ、主語抜けてない?テミン君」 あと、早口…と…

しゃいに兄弟の砂時計 40

八月~向日葵 青い空にくっきりとした白い雲が浮かんでいた 取り込まれた洗濯物の山が縁側に積まれておりその横で体を投げ出し寝ているジョンヒョンがいた 正午に鳴る学校のチャイムが空越しに小さく聞こえてきた 「12時…目立った動き、なし…」 ブツブツと呟…

しゃいに兄弟の砂時計 39

七月~落雫 暑苦しい上着を脱ぎワイシャツの袖を捲り上げたオニュとジョンヒョンが並んで歩いていた 「ジョンヒョン」 「ヒョンが出て行ってすぐテミンに追い立てられてみんなで後をつけたんだごめん テミンが尾けながら話してくれたんだけどさ あいつ主語が…

しゃいに兄弟の砂時計 38

七月~甘露 「許可なく持ち出した窃盗罪」 メモ帳を奪い返したジョンヒョンが立っていた 「破ったのか?器物損壊罪」 ジョンヒョンはメモ帳を撫でた 「嫌がるヒョンを無理に付き合わせた強要罪 脅しも入っていたから脅迫罪」 「ジョンヒョン君」 「ヒョン、…

しゃいに兄弟の砂時計 37

七月~甘露 「…舐める?」 「そう 舐めるの」 アヨンから視線を逸らし川向こうを見るオニュに囁き続けた 「柔らかくて…真っ白 硬そうに見えるけどとっても、脆い 覚えてる?ジョンヒョン君の事よ」 煌めくイルミネーションに浮かび上がるアヨンは大きな瞳で…

しゃいに兄弟の砂時計 36

七月~甘露 アヨンが指定した店は川沿いに夏季限定でオープンしているバルとビヤガーデンが掛け合わさった店だった 食器の触れ合う音や楽しげな笑い声肉の焼かれる香ばしい匂いが混じり合い夜空に猥雑な空気を撒き散らしていた 案内された座席は人混みから離…

しゃいに兄弟の砂時計 35

七月~甘露 部屋に溢れた物を今度は仕舞うという徒労感の否めない作業をしているジョンヒョン、ミノ、テミンの所に黒いスーツに 黒いシャツを着たオニュが部屋から現れた ヨレたTシャツとジャージ、又はタクシー会社の制服姿ばかり見ていた兄弟は目を瞠った …

しゃいに兄弟の砂時計 34

七月~朝顔 自宅に戻ったオニュは玄関の引き戸を開けた途端上を下への大騒動に巻き込まれていた 「ヒョン!!ヒョンが帰ってきた!!おーい!ヒョンが帰ってきた!」 ミノが大声で家の奥に声をかけるとオニュの手を引っ張り中へ引きずり込んだ この間、片付…

しゃいに兄弟の砂時計 33

七月~朝顔 「……どうして…」 夏の日差しに照りつけられオニュの額から首筋、背中は汗が噴き出していたが目の前でジョンヒョンの大切な物を持っている女にゾワゾワとした悪寒を感じていた 『いつか大変な目にあうよ!』 キーの声が頭の中で響いた 「ジョンヒ…

しゃいに兄弟の砂時計 32

七月~朝顔 目的地に着くと女はオニュの先に立ち階段を上がって行った 目の前を行く女のスカートから覗くすらりとした足や丸い曲線を描く腰が左右に揺れるのを極力、見ないようにしながらオニュは続いた 展望台の最上段は風が強く吹いていた さらさらとなび…

しゃいに兄弟の砂時計 31

七月~朝顔 強烈な陽射しがアスファルトに照りつけていた 揺らめき立つカゲロウの中に黒い日傘を差した女が立っている 減速したタクシーがウインカーを出しながら女に近寄りドアがスッと開いた 女は日傘を折りたたみ腰を車内に落としほっそりとした両足を続…

しゃいに兄弟の砂時計 30

七月~向暑 傘がない、という彼女に家の方角を聞くと同じ方角だったためジョンヒョンは傘を貸すからと言い家に誘った 「ただいま!」 「お~、おかえり雨、大丈夫だったか?」 オニュが、のっそり顔を出した 「お客さん?」 「駅で傘が無くて困っていたので…

しゃいに兄弟の砂時計 29

七月~向暑 帰り際またもや塾の方針に背いた事が知られたジョンヒョンは塾長に呼び出された 君の個人的信念で成績の上がらない者を伸ばせるのか むしろ、可能性を潰しているとは思わないか 問いかけられたがジョンヒョン自身にも答えがわからなかった 電車に…

しゃいに兄弟の砂時計 28

七月~向暑 「スヨン」 ビクっと体を強張らせた子供を見てジョンヒョンはこれから自分が言わねばならない事を考えて顔を歪ませた 「ジョンヒョン君、君のやり方は当方と噛み合っていない」 塾の事務所でジョンヒョンは塾長に諭されていた 「ここは個人の家庭…

しゃいに兄弟の砂時計 27

六月~初夏 新聞配達奨学生であるミノは毎日の新聞配達、という仕事があった 怪我をした場合、代わりに配達してくれるシステムはあったが迷惑をかけたくない、というしゃいに兄弟の話し合いの結果二週間だけ年長者二人で都合をつけ交代でミノの勤務先に行く…

しゃいに兄弟の砂時計 26

六月~梅雨晴れ 電話はサッカーチームからだった 「ミノ!」 「オニュヒョン…」 「大丈夫か?」 「うん」 ミノは試合中に足首を捻り捻挫していた 医師からは軽いとは言えないが靭帯までは傷めていないので程度としては中程度、二、三週間の安静が必要と診断…

しゃいに兄弟の砂時計 25

六月~梅雨晴れ 梅雨空続きの合間に目の覚めるような青空が広がる日 頭にタオルを巻いたオニュが庭一面に洗濯物を干して回った ジョンヒョンは溜まった食器を洗い洗面所や風呂場、トイレを掃除して回った 三日前から張り紙で警告しておいた通り床やテーブル…

しゃいに兄弟の砂時計 24

六月~入梅 テミンは悩んでいた 八百屋でのバイト、エアロビ講師、ダンス教室とキーから全て引き継いだが上手くこなせている、とは自分でさえも言えなかった キーの身内だから自分を切る事が出来ないのではないか、最近のテミンは被害妄想的になっていた 「…

しゃいに兄弟の砂時計 23

六月~入梅 キーが旅立ち、数週間は兄弟は気張って日々過ごしていた しかし、日常、という毎日は段々と兄弟にのしかかり影を落とし始めた 細かい所に気を配るキーがいなくなった影響が徐々に表に現れ始めた まず玄関が荒れ始めた 靴が出しっ放しになり足の踏…

しゃいに兄弟の砂時計 22

五月~風薫る まるでエアロビ教室に行く時のような軽装のキーが玄関に立っていた 大きなスーツケースがキーの旅立ちを象徴して横に置いてあった 「…じゃあ、、行くね テミン、八百屋とエアロビ、ダンスも頼んだぞ信じてるからな」 「わかってる」 「…ミノ、…

しゃいに兄弟の砂時計 21

五月~風薫る キーは全国を回る有名なアーティストのダンサーとしてオーディションに合格していた 本人の高い能力に加えて地道な努力を決して怠らず日々の積み重ねでつかみ取ったと言っても過言ではない結果だった 自分の支度よりも残す家族の事ばかり考える…

しゃいに兄弟の砂時計 20

四月~花散らし ぷちん、ぷちん、と爪を切り始めたオニュを横目で眺めキーは背中を床につけ縁側に寝転んだ 「花占い、してた」 「ん?」 「大丈夫だ、全部上手くいく」 スウェットのポケットから封筒を取り出しキーに渡した 「ヒョンからの贈り物だ」 ゆっく…

しゃいに兄弟の砂時計 19

四月~花散らし 「ジョンヒョーーーーン!」 風が強く吹くある日、キーが家中の掃除をしていた 「ジョンヒョン!命よりも大切!とかいうくせになんで、あちこちネタ帳置いとくの! いつか、大変な目にあうよ!ほら!」 マスクをして眼鏡をかけたキーがソファ…

しゃいに兄弟の砂時計 18

四月~桜花 キーとテミンが帰ってくると玄関でぼんやり立つオニュがいた 「ヒョン、何してんの」 「お帰り気持ちいい風だな ほら、見て」 オニュは庭に植わるレンギョウの黄色い花をぷちっと取るとポンと、放り投げた 暖かな風が花を運びレンギョウはクルク…

しゃいに兄弟の砂時計 17

四月~桜花 居座っていた冷たい空気が去り暖かな空気に町は包まれた 小さな出来事で笑ったり喧嘩したりの毎日が平穏に続きしゃいに兄弟は揃って春を迎えた 八百屋でのバイトも板についたテミンはキーの信用を得てエアロビ講師の助手も務めるようになっていた…

しゃいに兄弟の砂時計 16

三月~浅春 次々と出品される品の合間にオニュは兄弟から構われまくり酔いが回ってきた すでにキーの一日メイドさん権と(現在までの、最高額三千円を記録)ジョンヒョンのにらめっこしましょあっぷっぷ権、ミノの一日一善権を所有していた オニュはキーの肩に…