しゃいに兄弟の砂時計 35
七月~甘露
部屋に溢れた物を
今度は仕舞うという
徒労感の否めない
作業をしている
ジョンヒョン、ミノ、テミンの所に
黒いスーツに
黒いシャツを着た
オニュが部屋から現れた
ヨレたTシャツとジャージ、
又はタクシー会社の制服姿ばかり
見ていた兄弟は
目を瞠った
アクセサリーも付けず
腕時計すらも付けず
ただ、黒いスーツを着ただけなのに
大人の男の色気が全身から放たれ
一緒に暮らしている兄弟でさえも
感心する存在感だった
「ヒョン、めっちゃナイスガイ」
「ちょっと、死語にも程があるでしょ
イケてるとか言ってよ」
「ヒョン、良い男だなあ」
「うわ~、俺がデートしてえ!」
ミノのデート、と言う一言で
オニュの体から
ピリピリとした空気が放たれ
「え?え?
俺、なんか地雷踏んじゃった?」
ミノがテミンとジョンヒョンを
見て救いを求めた
「デートじゃない」
「え、そうなの?
てっきり……」
みんなの顔を見回し
ふっと力を抜き優しく笑い
「行ってくる」
ガラガラとオニュが出て行った