eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

化身3

 

 

 

 

 

 


ジョンヒョンが岩場へ急ぎ戻ると
キーとオニュが体を寄せ合い
揉めているようだった


オニュはキーの肩を掴み
揺さぶっている


しかし、ことの重大さを早く伝えねばと
ジョンヒョンは二人に構わず
話し出した

 

「テミンが」

 

先程の出来事を話すと
キーは顔を歪ませ
オニュは白い頬を引き締めた

 

「ミノがテミンを探しているはずだ

ジョンヒョン、テミンの羽根を
見たか」


「...ああ、見た」


「お前も見たんだな」


「...だけど!見間違いかもしれない」


頭をゆっくりと振ったオニュは
ジョンヒョンを見た

光が当たるオニュの
茶色の瞳は透き通ったガラスのようで
こんな時でも美しいものに
心を揺さぶられる自分に
ジョンヒョンは気がついていた


「ジョンヒョン、影が呼び寄せられている」


指し示された大地を
ジョンヒョンは見渡した

 

「...!」

 

光から生まれた影は
質感を増し大地を移動していた

 


「影が...なんだ、これは」

 

大地の果てから集まりつつある影は
黒いカゲロウを揺らめかせ
こちらに向かい寄り集まってくる

 


「黒百合も...俺の...
俺の祈りが届いていなかったせいだ」


「違う」
即座にオニュが否定した


「ジョンヒョンのせいじゃない
俺たちに止める事は出来なかったと思う」


「...テミンは」


「テミンは、覚醒を迎えている」


「じゃあ...この影はテミンの?」

 

白く柔らかな頬で
無邪気に笑うテミン

生き生きとした翼で
空を舞い世界に風を送り込んだテミン


いつでも皆の周りに笑顔を咲かせてきた
テミン


テミンの力は破壊を導くものなのか...

 

「違う、テミンは」


頭上に押さえつけられるような
圧迫感を感じ
三人は頭上を仰いだ

 

光が
じわじわと弱まるのを体で感じた


「ミノが...始めたんだ」


傾く日差しは空を茜色へと
瞬き毎に塗り替えるようであった

 

「...それがミノの使命なんだ」

 

 


空気がドンっと振動した

振り返った三人が目にしたのは
神と向かい合いもう一つの岩場に
降り立つテミンであった

 


「テミン!」

 


蹲る神を前に
テミンは両手を広げ
羽根を広げ天を仰ぐ


影は大地を覆いながら
岩場に、向かっており
ジョンヒョンには大地の苦痛の叫びが
耳元で叫ばれているかのように
響き両手で耳を抑えた

 


「テミン!」

 

ジョンヒョンがテミンに向かい
飛び出そうとした瞬間
テミンは羽根を鋭く振り上げた


無数の羽が空を切り飛んできた

 

オニュが大きな翼で打ち払う

 

「...テミン」

 

テミンが仲間に攻撃を仕掛けてきた

その衝撃が三人の行動を遅らせた

テミンは翼を広げ
キリキリと垂直に舞い上がる


そのまま急降下し
三人がいる岩場へと近づき
躊躇いもなく突っ込んで来た


オニュが二人を掴み
一瞬早く岩場から飛び去った


テミンは大地の象徴の岩場を
粉々に粉砕し神の元へ戻り
その場で旋回していた

 


「あの方を護らなくては」


「ジョンヒョン、違う
守るのはテミンだ

キー、約束を忘れるな」


「ヒョン、他に方法を考えよう」


冷静に話そうとしているが
キーの唇は震えていた


「何の話だよ!」


ジョンヒョンが二人を問い詰めたが
「ジョンヒョン、時間がないんだ
俺が、」

オニュが言ったその時

 

空を熱く焦がす空気が押し寄せた

 

灼熱の炎が天も焦がす勢いで
立ち上り岩場を
取り巻く

 

 

「ミノ!」

 

 

乱れた黒髪がミノの瞳を隠し
その顔は見えなかった

 

 

キリキリと旋風を起こした
灼熱の炎は竜巻となり
地表へ伸びた

 

 

「ミノ?まさか、テミンを?」


「やめろ!やめろ!ミノ!!」

 

炎はミノの操るままに動き
神の上を旋回しているテミンの方向へと
近づいた

 

 

 


弱まる太陽は空を朱色に染め上げ
ぶくぶくと肥えた月が空を支配する


赤い血のような空色を満面に受け
月はドロドロと輝いていた