eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計〜番外編③

 

 

 

 

 

番外編〜冬の灯台

 

 

 

 

 

 

 


袋を開けるとジャージが丸まって
入っていた


「?!」

要るのか要らないのかジョンヒョンには
わからなかったが
もし、必要な物でテミンが
困ったらと思うと
じっとしていられなかった

 

「ああ〜!もうっ!」

 

袋を掴み、玄関にあるオニュの長靴に
足を突っ込み家を飛び出る


ヒラヒラと舞い落ちる雪の合間から
坂を下るテミンが見えた

 

「テミナー!」と呼びかけると
細い背中のテミンがくるり
振り返った

 

「これ!要らないのかよ!」

 

ああ〜、という顔をしたテミンが
両手をポケットに入れたまま
ゆっくり戻り出す


焦れたジョンヒョンは
長靴の両足をペンギン走りに動かし
駆け下りた

 

「お前!忘れ物すんなって」

 

ハアハアと白い息を吐き
テミンに渡した


「ん」


軽く頭を下げたテミンに
「テミナ、口で言いな」


柔らかく笑いかけ目を見つめた


「...ありがと」


「気をつけてな」


無言で坂を下り出すテミンに
声をかけジョンヒョンは
坂道を登る

朝から諍いをして送り出したくなかった
ため見逃したが
テミンの態度は気持ちの良いものでは
なかった


家に入るとミノが背中を向けしゃがんだ格好で
ジョンヒョンを待っていた

 


「...なに?」

 


両手をひらひらとさせ
ミノは笑顔で背中に誘う

 


ミノヤ〜と呼びながらジョンは背中へ
飛び乗った


廊下からリビングへ
ミノの高い背に揺られながら
二人の兄弟はキャッキャと笑っていた

 

 


やがて、ミノも仮眠を取りに部屋へ行き
家は静かに息を潜める

 


雪は全ての音を吸い取り
微かに聞こえる柱時計の音や
サラサラと庭で風の吹く音
台所でぴちょん、と音をたてる水滴


それら全てを忘れジョンは自分の世界に
足を踏み入れた

 

 

机に向かうその貴重な時間は
テミンからかかってきた電話で
打ち切られた

 

「ヒョン、俺の机の上に書類ない?」