eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計 38

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七月~甘露

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「許可なく持ち出した窃盗罪」

 

 

 


メモ帳を奪い返した
ジョンヒョンが立っていた

 

 


「破ったのか?
器物損壊罪」

 

 

 

 


ジョンヒョンはメモ帳を撫でた

 

 

 

 


「嫌がるヒョンを
無理に付き合わせた強要罪


脅しも入っていたから
脅迫罪」

 

 

 


「ジョンヒョン君」

 

 

 

 

 


「ヒョン、帰ろ」

 

 


「大人の話し合いをしているのよ
邪魔をしないで」

 

 

 

 


「ヒョンを縛り付ける物は
もう、あなたの手元にはない


ヒョンがあなたといたいなら
別だけど」

 

 

 

 

 


アヨンがオニュを見ると
憐れみと軽蔑が隠しきれない
冷たい眼差しがあった
「アヨンさん、俺は
あなたとは付き合わない
今も、これからも」

 

 

 

 

 

 

 


「オニュ」

 

 

 

 


ガタッと椅子から立ち上がり

 

 

 

 

 


「二度と家族に近寄るな」

 

 

 

 

 


怒りを秘めたその声と眼に
アヨンは圧倒された

 

 

 

 


立ち去るオニュの背中を見ながら
アヨンは椅子の背に寄りかかった

 

 


その肩をトントン、と叩かれ
振り向くと
携帯電話が目の前にあった

 

 

 

 

 


「どーも、イソギンチャクさん
あなたの行為は全て録画しました


これ以上、ヒョンや家族に
近寄るならあなたを訴えます


窃盗、強要、器物損壊
えーと、あと何だっけ」

 


「脅迫」

 


背が高く顔が小さいのに
目がキラキラと大きい男が
ヒソヒソと耳打ちした

 

 

 


「あ、それ
たくさんあるから、大変だ
この映像を証拠にね


オニュは諦めた方がいいよ


誰か他にイソギンチャク好きな
趣味の人探した方がいいね
それじゃ」

 

 

 


行くぞっと背の高い男が
携帯を持っている男を引っ張り
歩き出した

 

 


アヨンは
指先に付いたソースを見つめ
唇を開き指を飲み込もうとした
オニュの顔を思い出し
自分でソースを舐めとった

 

 

 


暖かな舌の感触に
目を閉じオニュを思い浮かべる

 

 

 


初めて
タクシーに乗った時には
無愛想で冷たい男に思えた

 


バックミラー越しに
切れ長のオニュの目と
合った時の直感

 

 

 

 


こんなに欲しいと思った男は
初めてだった

 

 

 

 

 

 


最初の冷たい印象とは
真逆に
オニュは優しい声で話し
優しい微笑みを持つ男だった

 

 


先程見た、オニュの激しい怒りも
アヨンは萎縮する所か
見惚れていたのだ

 

 


一目見たときから
オニュの中にある
激情をアヨンは
理屈抜きに感じており
オニュの雄としての全てに
どうしようもなく惹かれていた

 

 

 

 

 

 

 


「欲しかったなあ」

 

 

 

 

 

 

 


アヨンは立ち上がり
煌びやかな灯りの中を歩いた

 

 

 

 

 

 


スレンダーで扇情的なアヨンに
男たちの視線が
たちまち集まり
中でも顔立ちが一際濃いハンサムな
男が熱心に見てきた

 

 


口に薔薇でも咥えさせたら
似合いそうな男だったが
育ちは良さそうで
仕立ての良いスーツを着ていた

 

 

 


男が椅子を引き立ち上がるのが
視界の隅に入った

 

 

 

 

 

 

 


イソギンチャクって何よ

 

 

 

 

 

 

 


そんな疑問を抱きながら
ゆっくりと歩き
男が追いつくのを待った