しゃいに兄弟の砂時計 42

八月～透水

「流すぞー！！」

オニュが叫んだ

じゃんけんで決めた
各自のポジションに
つき兄弟は待機した

特等席の一番手はジョンヒョン
縁側で座りながら
素麺を掴める最高のポジション

次に庭に降りてテミンとミノの
順番で立っていた

素麺の塊が竹幅いっぱいに
ドバッと流れてきた

「うお！
ちょお！
なんかイメージと違う！」
ジョンヒョンが声をあげ
半分ほど取り
下手で待機していたテミンが
素麺を掬いミノは取れなかった

「うおーー！
素麺、ぷりーずーー！」

オニュは食べ手のペースに
御構い無しに素麺を
流し続けた

「ヒョーーン！
早く自分が食べたいからでしょ！

もう！」

「これが俺のペースなんだ！
はい！次はテミン君の番だよ」

テミンは口に素麺をたくさん
詰め込み頬を膨らませて
家に上がった

一番手をオニュが取り
ミノとジョンヒョンが後に続いた

「行きますよーー」

「はーーい、って！
っっっんじゃ！こりゃ！！」

スイカのかけらが流れてきた

「テミナ！！素麺流さんかい！！」

「だって、俺、素麺もう飽きたから」

「ヒョンは食べてません！
流しんしゃい！」

オニュが足をタムタムさせながら
喚いた

コロコロとぶどうが流れてきた

「テミン君！！」

「わかってるぅ
ああ、ヒョンウケる」

時折、ぶどうやスイカが流れる中
オニュのお腹にも素麺は収まり
その後は、様々な物を流して遊んだ

フィギュアを流した時には
男兄弟はかなり盛り上がり
ドカーン、とかズバーン！
ブッシャアーーなど擬音の嵐で
遊び倒した

ミノがホースを庭先に持ち出し
スーパー水鉄砲！と言い出して
容赦なく兄弟めがけて
水を撒き散らした

弧を描く水流は
陽射しを浴びて小さな虹を
庭先に作り出し
それに気がついたジョンヒョンが
美しさに目を奪われていると
いきなりホースを向けられ
頭から水をかけられた

誰も彼も全身びしょ濡れとなり
はしゃいだ夏の午後だった