eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue 39

 

 

 

 

 

 


翌日は曇り空の冷え込んだ日だった

長めの上着を羽織り
凶器を忍ばせ病院玄関の見える
公園で男を待った

 

 


オニュの思考はアオに飛び
この役目が終わって
アオの世界に


安息の世界に行けるのを待ち望んだ

 

 

 

何も食べず何も飲まず
全神経を尖らせ待ち続けた

 

やがて、人の出入りやタクシーの動きが
活発になり退院したのであろうと
思われる人間が何人も出てきた

 

懐に手を入れ
身を乗り出すオニュの肩に
手が置かれた

ハッと振り返ると
テミンがいた

 

 

「ヒョン、おかしいと思ってた」

 

「…テミン」

 

「自分で復讐するつもりなんだね」

 

「テミン、帰れ
頼む」

 

「ヒョン…」

テミンは哀しみの籠った眼差しで
オニュを見つめた

 

「ヒョン、置いていけないよ
ヒョンは僕の家族だ
僕が守る」


「テミン!だったら!

このまま消えてくれ
頼む!」

 

 

視界に男が入った
頭に包帯を巻き紙袋を下げて玄関から
出てきており
イヤホンを耳にはめ
携帯を見ながら歩き始めた

 

 

「テミン!
お願いだ!お前を傷つけたくない
消えてくれ!」

 

 

 

「ヒョン…
僕は離れないし、反対もしない」

哀しい目のまま
なんの前触れもなくオニュの脇腹に
拳を突き入れた

 

たまらず体を折り曲げたオニュから
凶器のナイフを抜き取り

 

 

 

「俺がやる」

 

 

 

 


そう言って走り始めた

 

驚きに目を見開き
縺れた足でテミンを追いかけた

 

男の背後に急接近した
テミンに飛びかかり
腕を押さえ込み
脇道に押し込んだ

 

男はそんな騒ぎも知らず
携帯を見ながら歩き続けていた

 

 

 


「離せ!
チャンスだろ!
馬鹿か!」

 

 

「テミン!
何を言ってる!
お前じゃない!俺がやるんだ!」

 

 

「ふざけるな!!!

アオちゃんは!
アオちゃんは
俺にも大事な人だった!

小さい頃から一緒に育った
大事な仲間だった!


お前だけがアオちゃんとの
思い出を持ってるのかよ?

 

自分だけが悲しいと思ってんのか!
くそったれオニュ!

アオのお父さんやお母さんは?


泣かない日があると思ってんのか!!


あいつを
殺してやりたいのは
お前だけじゃないんだぞ!!!」

 

 

 

テミンが泣きながら
叫んだ

 

 

 

オニュは何も言えず立ち尽くした

テミンの言葉が
心に刺さり動けなかった

 

 

 


「…まだ、間に合う
俺が殺してやる」

 

 

 


ハアハアと肩を上下させるテミンを見て
胸がつぶれるような
衝撃を受けた

 

 

 


俺は
こんな思いをさせていたのか

 

 


「テミン、お前、警官になるんだろ!
法を守る人間がそんな事しちゃいけない」

 

 

 

「…これが俺の正義だ」

 

 

 

 


飛び出そうとするテミンと
揉み合いオニュの両手がナイフで切れ
血がポタポタと流れた

 

「ごめん…
ごめん…

ごめんな
テミン

ごめん…」

 

 

オニュはテミンを行かせまいと
きつく抱きしめ
肩に顔を埋め体を震わせた

 

 

正解がわからず
正義がわからず
テミンを闇の世界に
引きずり込んでしまった後悔に
オニュは
打ちのめされていた