eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue 34

 

 

 

 

 

 

 

 

 


アオの一周忌は身内だけで行われたが
オニュとテミンは
アオの両親に自宅に招かれ
アオを偲ぶ場を設けられた

 

 

 


「オニュ君、あなたがここに来るとね
アオも喜んでいるのがわかるの

あの子は私の中に
今も一緒にいるのよ

アオが心配してるわよ
オニュ、ご飯食べてるのかなって」

 

 

「…あの子は君の笑顔が好きだったようだ
君の笑った顔と、自分が笑った顔が
似ていると人に言われて
喜んでいた事があったよ

オニュ君、君はもう充分
娘に尽くしてくれた

君はこの世を生きなさい
必ずまた、いつかアオに会う

それまで、君はこの世で生きるんだ」

 

 

アオのご両親からの心からの
言葉もオニュには響かず
静かに座ったままだった

 

「今はまだ、わからないかもしれない
だが、いつか、わかる時がくる
君は必ずアオに会える
信じてごらん」

 

 

 

アオの面影が宿る2人を見て
オニュは瞬きをした
心臓がせり上がるような圧迫感を感じ
息が出来なくなってきた

 

「すみません、今日は
これで失礼させていただきます
ありがとうございました」

 

 


深々と頭を下げ
アオの家を出た

 

 

「ヒョン、大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「ヒョン、全然大丈夫じゃないんじゃない?」

 

テミンの言う通りだった

時間が経てば
想いも薄らぎ癒されていくものかと
考えていたが
青空を見てはアオを想い
雨が降れば鮮烈なアオとの
初めてを想った

 

太陽も月も 

春も夏も秋も冬も

見るもの全てがアオとの記憶に
繋がった

 

記憶の分厚い繭がオニュを絡め取り
救えたはずのアオを
救えなかった自分を責め
絶望の闇も粘度を増していた

 

 


「ヒョン、久しぶりなんだし
ご飯でも食べに行こう、ね?」

 

 

テミンに連れられ焼肉店へ入った

 

あれこれ、テミンは注文してくれたが
食欲が湧かず
オニュは酒を頼んだ

 

 

「ヒョン、よく飲むの?」

 

「…普通」

 

「ほら、肉だよ!
ヒョン肉好きでしょ」

 

「ありがと、テミン」

 

 


テミンの進路について話し
警官としての内定が取れそうだと
会話をしていたが
アクリル板で仕切られた隣席の
男達が大声で騒いでおり
よく、聞こえないほどだった

 

 

女とどれだけ体の関係をもったかという
くだらない会話で
オニュは座席によりかかり
テミンの話を聞きながら
聞くともなしに聞いていた

 

「ねえねえお前さ
女とやる時必ず相手の女
イッてる?」

 

「いやー、どうすかね?
よく、わかんねえですよ」

 

「マジかよ
お前最悪だな
やり方が悪いんじゃね?」

 

「え、じゃあ、先輩いつもなんですか」

 

「ほぼね。
ほとんどイッてるな
だって、俺すごいもん」

 

「それ、演技ってやつじゃないんですかー」

 

「ばっか、てめえ
演技じゃねえよ
今ので思い出した

俺が経験した
すごいのあんだけど
知りたい?」

 

「え、なんすか
知りてーー」

 

「この話は
すっげえ極秘なんだけどさ」

 

「え、なんすか
教えて下さいよ~」

 

「お前、知ってる?
滝で死んじゃった女」

 

「…ああ~
大分前に死んじゃったやつ
え、そいつと?」

 

「そーなのよ
あの女
前から目付けてたんだけど
いっつも男といてさ
なかなか近づけなくてよ

ま、機会があったらなって
あっためておいたわけ

そしたらさ、ひょっこり
1人で歩いてるとこ出くわしてさ
場所も最高なとこでさ

今、工事中の高架下

あそこ歩いてるんだもん
俺、チャンスは逃さない男だからさ」

 

「なんすか、どうしたんすか」

 

「後ろから近づいてさ
やっちゃった

いやー暴れたな~」

 

「…またですか
それ、ヤバいですって
よく、捕まんないですね」

 

「だから、極秘だって言ってるだろーが
それにもう、死んじゃってるしよ
大分時間も経ったし
安全じゃん?

そうそう、そんでさ
暴れるから
一発殴って
縛り上げたら大人しくなってさ
やっちゃったわけだけど…


そしたら
どうしたと思う?」

 

「さあ」

 

「最初は暴れてたけどさ
俺にやられてさ

…イッちゃったのよ

まじ、やべえでしょ
犯されながらイッちゃうとかさ!
俺、どんだけよ!」

 

「…マジですか?
なんかAVみたいですけど」

 

「ばっか、お前
マジだって!


ありゃ、絶対ガチだ

あいつ、声は出さなかったけど
絶対、イッてたな

俺もつられちゃってさ
中に全部出しちゃった


あれは最高だったな
うん、今までで最高だったな」

 

バリンっと音が響いた
焼酎の瓶を机に叩きつけ
オニュが立ち上がっていた