eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue 35

 

 

 

 

 

 

鋭く尖る瓶を片手に
ゆらりとオニュは立ち上がった


背後を振り返り
男を見た

自分と歳が変わらないような
若い男だった

 

オニュは一言も発せず
鋭く手を振りかぶり
男めがけてビンを振り落とそうとした

しかし、その手をテミンが抑えていた

 

 

「ヒョン!」

 

「…離せ
離せ!!」

 

自制心を完全に失い
狂乱したオニュがいた

 

テミンはビンを力ずくで奪いとったが
オニュに蹴り飛ばされ
蹲った

 

 

「邪魔するな」

 

 


男は突然現れた
鬼の形相のオニュをみて
何だお前はと顔を引き攣らせていた

 


(こいつがアオを)

 

 

 

 


オニュはバラバラに
砕け散り
飛び散ったパズルのピースになっていた

 


飛び散るパズルピースには
全て目がついており
様々な角度から自分を見ているような
歪んだ世界に入り込んでいた

 

 

 

 

 

男に近寄り
鉄板の上にあった焼けた鉄ヘラを手に取り
男の首筋にねじ込んだ


ギャアアと叫び声をあげ
男がのたうちまわった
そのまま流れるように
目に入ったハサミを
手に取り
渾身の力で肉に突き立てた

 

 

 


(俺のアオ)

 

 

 

 

 


テミンが頬から血を流しながら
オニュを止めた

「やめろ!オニュ!」

どこにこんな力が、と思うような
怪力でオニュはテミンを投げ飛ばした


激しい衝突音を立て倒れたテミンに
目もくれず男に向かった


穏やかに優しく笑うオニュとは
まるで別人の、全身刃物のような
オニュが現れた

 

チャプチャプと限界まで溜まっていた
暗いオニュの闇に
火矢が放たれ
ゴウゴウと炎が立ち上がり
殺意に駆り立てられ
迷いなく男に向かうオニュは
この世で生きる者の
一線を越えようとしていた

 

暴れる男の襟首を掴み
焼けた鉄板に押し付けた

髪の焦げる匂いがし
喚き散らす男を座席から
引きずり出し
二階にある店の階段から
蹴り落とした


自分でも知らないうちに
獣のような唸り声を発しながら
弱々しく動く男に
掴みかかった

 

骨が砕ける程に
顔面を殴り腹を殴り
髪の毛を引っ掴んで
床に叩きつけた

 

 

 

(俺のアオに)

 

 

 

 

(アオにこいつが)

 

 

 

 


白目をむき
血反吐を吐く男の
息の音を止めようと
首に手をかけた時
オニュは警官に囲まれていた

 

 

 

無理矢理、引き離され
床に叩きつけられた

言葉にならない叫びをあげ
激しく抵抗し
男に近寄ろうと足掻いた

 

 


「ヒョン!暴れちゃだめだ!
ヒョン!!」

テミンの声を遠く耳にしながら
カチャリと冷たい音が響き
オニュは拘束されていた