eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue10

 

 

 


暗がりにアオが立っていた

「アオ!こんな寒い夜に外にいたのか?」

「オニュ」

「アオ!震えてるじゃないか」

慌てて駆け寄り手を握ると
氷の様に冷たくなっていた

早く家に帰さなくては、と
「送っていくよ」
と言った


曲がり角で振り返るとアオは同じ場所に立っていた

「アオ?」

「オニュのばか!!」

静かな住宅街に響き渡るアオの大声に
あちこちの犬が吠え出した

テミンの部屋の窓がガラガラと開き
テミンとおばさんが窓から顔を出した

「オニュのばか!
オニュのばか!!
オニュのばか!!!」

 

小さな頃に喧嘩をした時と同じだった

叫ぶごとに
ボリュームを上げていくアオに
慌てて駆け寄り
ひとまず自分の家に入れようと腕を掴んだ

 

アオは激しく抵抗し逆らった

 

屈んでアオの膝に手を入れそのまま
抱き上げた

 

ヒューー!とテミンとおばさんの
野次る声が聞こえたが
オニュは変な汗をかき無我夢中だった


驚いて息を飲んだアオに
「アオ、お願い」そういうと力が抜けて
大人しくなった

 

「若いっていいやねえ~」
おばさんの声が聞こえ
ガラガラと窓を閉める音がし
「あ!まだ見てるのに!」
テミンの声が、微かに聞こえてきた


オニュはアオを抱き上げたまま
苦労して鍵を開け
アオの靴を外しポトンと落とした


自分の靴は適当に脱ぎ捨て中に進んだ


居間にアオを降ろそうとしたが
アオが離れなかった

「アオ?」

首にしがみつき降りようとしないアオに
「アオ、父さんが見てるぞ」
笑いながら言った

 

ハッと顔を上げたアオは
慌てて滑り降りオニュの父親の写真に向かい
丁寧にお辞儀をした

 

オニュは急いでストーブを点け
アオを暖かな場所へ座らせ
肩にオニュの上着をかけてやった

 

2人並んでストーブに 暖まりながら


「アオ、俺さ
本当に鈍感みたい

ごめんな」


「オニュは悪くない

ばかは、私
騒いで ごめんねオニュ」

「あんなアオ、久しぶりに見たな」

 

オニュはアオの手を握り微笑みかけた


「…オニュ
引越すの?」

「ああ」


ジジジと音のするストーブから
オレンジ色の熱い光を顔に受け
アオは黙っていた

 

「アオ、会いに来る

だから、泣かないで」

アオの両手を取り顔を覗き込んだ

「…オニュ」

「会いに来る 約束」


いくつもの言葉が心をよぎったが
口にすると気持ちと離れた言葉になりそうで
オニュはそれだけをアオに伝えた

 

アオもまた、多くを語らず
オニュを見つめ微笑んだ

 

 

アオと手を繋ぎ夜道を歩きながら
澄んだ冬空を見上げた

小さな星が瞬き月が煌々と変らずにそこにいた

皮膚が切られるような寒さの中
このまま離れずにいられたら
そう思っていた