eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue 40

 

 

 


オニュと行きたい場所がある
そう言ってテミンの運転する車に
乗せられオニュは郊外へ来ていた

 

 


朝から曇りがちだった空には
水分をたっぷりと含んだ分厚い雲が連なり
今にも雨粒を落としそうだった

 

 

 


「…テミン」

ついた場所は墓地だった

 

 


「ヒョン、一度も来てないでしょ
アオちゃんが待ってる

僕はここで、ヒョンの帰りを待ってる
アオちゃんと、ちゃんと話しておいで」

 

 


ほら、と傘を持たされ背中を押された

「そのまま、まっすぐ行けばわかるよ」

 


しかし、足が動かなかった

立ち尽くすオニュの背中を
テミンの手が優しく押し出した

 

 

 

ゆっくりと足を踏み出し
胸を上下させながらオニュは進んだ

いくつもの盛り上がった小さな山の前を
通り過ぎ足を止めた時
とうとう雨が降り出した

 

 


傘を広げ
ゆっくりと近づいた

 

土の山は緑に覆われ
アオを覆い尽くしていた

 

 

 

オニュは自分の血の通う掌を見つめ
かつてこの手で触れた
アオを想った

 

 

 

『晴れた空を見たら…
夕焼けを見たら…

 

 

コスモスを見ても…

流れる水を見ても…
…トンボにすすき
お月様を見ても…』

 


『雨が降ったら…
雨が降ったら
オニュのこと考える』

 

『虹を見たら…

ね…?今日1日でたくさん幸せに会えた

…アオ 泣いてるの?

嬉しくて泣いてるんだよ
良い涙だからいいの』

 

 

 

 

アオ

俺の涙は?
教えてよ、アオ


俺はたくさんの後悔を抱えてるんだ
アオを一人逝かせてしまった…
あの時引っ越さなければ…
あの時、無理矢理にでも聞いていたら…

何かが変わっていただろうか
アオを救えただろうか

 

 

 


最後に抱いたアオが鮮やかに
蘇った

オニュには、あれが演技だったとは
思えなかった

アオは、あの一瞬、全身全霊で
俺を感じようとしてくれていた

 

 


そう信じられた

 

 

 

 

 


俺はアオを愛してる


アオも俺を愛していた

 


ふと、陥ってしまった魔の一瞬
悪魔の道を歩いてしまったアオ


アオは俺に愛されるため
全てを懸けて会いに来た

 

 

オニュは激しく降り出した雨の中
そっと傘を小山に差しかけた

 

 

 

 

アオ

 

 

 

遅くなって ごめんね

 

 


アオ

 


アオは 特別

 

 


アオはずっと、ずっと

 

 

 


俺の特別

 

 


忘れないで

 

 

 

アオ

 

 

 

 


墓標に手を伸ばし
オニュはアオを想い
輪郭をなぞった


冷たい雨がオニュに降りかかり
指先から雫を形作り流れ落ちた

空を仰ぐ白い頬にも幾筋も雫が滴り落ち
微かに開けた口からは
アオを想う
慟哭が漏れ出ていた

 

 

 

 


叩きつけるように真っ直ぐ
降り注ぐ雨の勢いが弱まり
立ち尽くすオニュに
傘を差しかけるテミンがいた

オニュの手を心を込めて握りしめ
一つの傘に入り
アオに向かった

 

 


「アオちゃん、ヒョン
連れて来たよ

どう?久々のヒョン
かっこいいでしょ


遅く…なってっ

っごめんねっ」

 

 

 

「…テミン」

 

 

 


涙で頬を濡らし
アオに話しかけるテミンの手を握りしめ
2人はアオとそれぞれの
心の中で会話していた

 


「帰ろう
アオ、また来るからね
約束…」

 

 

そう言って
二人は互いに悲しみを分かち合い
アオの墓所を後にした