eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Rainy Blue 41

 

 

 

 

 


その後、あの男は別件の性犯罪で
摘発され警察に拘留されたようだった


オニュは叔父の家を離れ
かつて暮らした地元に戻り
一人暮らしを始めた

 

 

殺風景な男の一人暮らしの窓際に
時々、花が生けられていた

 

時には店売りの立派な花の時もあったが
大抵、道端で咲いているような
オニュには名前もわからないような花だった

 

陽の当たる窓際で
風に吹かれ揺れる花を見ると
アオを身近に感じられ
オニュはアオに
お土産を持って帰るような
少し、うきうきとした気持ちを感じ
気がついた時には
いつでも花を持って帰った

 

 

 

 


「あーー、よく寝た
ヒョンご飯食べ行こ~」

 

「…お前、自分の部屋で寝ろよ
なんで俺の部屋で寝るんだ?」

 

「いいじゃん、毎日じゃないんだからさー」

 

「いや、ほぼ毎日というだろ、これは」

そう言って
自分の物ではない荷物で
侵食されている部屋を見回した

 

 

「まあまあ、本格的に交番勤務が
始まったら
こんなに迷惑かけないからさあ~」

 

「本当かよ
大体、隣の部屋に越してくるとか
ストーカーじゃないの
警官テミン君」

 

 

「偶然だってば!
何千回も、言ったでしょ!
偶然です!

さあ、ラーメン食べに行こう!」

 

 

なんだかんだとテミンに押し切られ
オニュは部屋を出た

「ああああ~
良い夕方だねえ
気持ちいいなあ」

 

 

「あんだけ寝てりゃ
気分もいいでしょうよ」

 

 

「ヒョンの勉強の邪魔しないように
静かにしてたんだからさ!
明日の試験、頑張ってよ!」

 

 

「ありがと、テミン」

オニュは国家資格となる一級建築士
目指し勉強を続けていた

 

 

 

「あ!ちょっと待って」

オニュは空き地に近寄り
風に揺れるコスモスに近寄った

 

 

 

「あー、これ、アオちゃん好きそうー」

テミンの声を背中に聞き
オニュはピンクのコスモスを
一輪だけ手折った

指で優しく花びらに触れた

 

 

 

 


『君はいつか必ず
アオに会える』

 

 

 

 


アオの父親の言葉が今では
オニュの心の部屋にいつもあった


そうだ
アオとは必ずまた、会える

 

実体のない寂しさに
心が引き裂かれるような辛い夜もまだあった

ふいに蘇るアオとの記憶で
後悔の雪崩を引き起こし
誰とも話したくない日もまだあった

それでも、いい
アオと一緒に生きる
これが俺の今の生き方なんだ

 

 


隣を歩くテミンに笑いかけ
オニュは空を見上げた

 

 

 

月が静かに浮かんでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

end