eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計 49

 

 

 

 

 

 

 

 

九月~秋冷

 

 

 

 

 

 

 

 

 


板張りの部屋に子供達が10数人おり
カーテンの開けられた窓ガラスに
映る姿を鏡代わりに見立て
練習していた

 

 


テミンも
子供達もオニュには背を向け
練習しており
オニュは見つからないよう
物陰からそっと様子を覗き見た

 

 


カウントで細かな動きを
確認しているらしく
テミンも子供達も同じ動きをしている

 

 

 


「よし!
んじゃ、曲で行こうか~」

 

 

 


リモコンをCDコンポに向け
テミン自身も踊り出した

 


先程までの力の抜けた動きと
明らかに違う
定規で線を引くような
的を得た感覚と
テミンの体から
立ち昇る音楽がないまぜになり
現実感のない世界を
見ているような気持ちになった

 

 

 

 


「はい、ここまで~」

 

 

 

 


テミンが曲を止めると
子供達がワアワア言い出した

 

 

 

 


「どうなってるのー?」


「なんか先生みたいに出来ない!
もう一回やって!
テミン先生」

 


「うん


こうやってこうきて
こうしてこう!」

 

 

 

 


「えーーーー!!!」

 

 

 

 

 


腕を軽くトントンされ
振り向くと女性がニコニコと
笑いかけていた

 


「こんにちは!
テミン先生のお兄様ですよね
うちの子がいつもテミン先生に
お世話になっております」

 

 

 


教室に通う生徒の保護者だった

 

 

 

 


「テミン先生、本当に
頑張ってらっしゃいましたよ
教えていただく立場で言うのは
何ですが
最初はもう、見ていられない位
子供達も言う事を聞かなくて」

 

 

 


テミンと子供達の練習を
見ながら
小声で話した

 

 

 

 


「保護者から声をかけようか、
みんな悩みました


でも、テミンちゃ…
いえ、テミン先生に
乗り越えてもらわなければ
この先、子供達と
関係を築けないだろうって
思いまして…


口出ししたいのを
堪えて見てました

 

 

私たちは
絶対にテミンちゃんを貶める事は
言わない、そう保護者の間で
決めて傍観しました

 


そうする内に
子供達はテミン先生の言う通りに
踊らないし、踊れない


今までのお互いの鬱屈が
溜まりに溜まった瞬間がきましてね


テミン先生、爆発するかなって
思いましたよ」

 


ふふふと笑い
「そうしましたらね
お兄さん
テミンちゃんどうしたと思います?」

 

 

 


「…さあ?」

 

 

 


「爆音で音楽をかけてね
一人で踊り始めたんです


本気でしたね

 


おかしな話ですが
涙が出そうになりました


だってね、あまりに綺麗で美しくて
さっきまでのテミンちゃんは
どこにもいないの

 


テミン先生のダンスは
真似は出来ないかもしれません

 

 


だけど、人の心を動かす
ものすごいパワーがあります

 

 


あの瞬間に
立ち会えた私たちは本当に幸運でした
それ以来、子供達は
テミン先生を尊敬していますよ
キー先生とは、全く違う魅力で
子供達を惹きつけ
みんなで一つずつ進んで来たんですよ


ずっと教えていただきたいと
思いますね」

 

 

 

 

 

 


保護者の話を聞き
子供達の前で踊るテミンを見ながら
オニュはメールの内容を考えていた