eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 2

 

 

 

 

 

 

窓際に立つ女に
まだらに影が揺らめく


女が放つ自分を拒絶する空気を
敏感に感じとり
近寄る事も、声を出す事も出来ない

 

 


「……あ」

 

 

 


女の声にハッと顔を上げる

 

 

 

「てんきゅうだわ」

 

 

 


そう言って女は空に向かい腕を伸ばす

 

ガラス窓に腕を伸ばし
ぴたりと体を寄せる

 


そのまま女が外へ行ってしまいそうで
足が一歩前に出た

 

 


「てんきゅうだから... いかなくちゃね」

 

 

ぼくもいく
ぼくもいく
ぼくもいく

 

 

女は  こう言った

 


「これは てんきゅうなの
ママいかなくちゃ」

 

 


かえってくる?
いつまで?
ぼく ひとりは いやだ

 

 

だが、女はもはや自分の世界だけに
生きていた

 


まとわりつく小さな手を
握りしめる事もなく
帰ると約束を交わす事もなく
いつもの小さなバッグだけを持ち
部屋から姿を消した

 


カチャリと扉の閉まる音がし
静寂が詰まった部屋に取り残された
男の子は
窓辺に駆け寄った

 

 


てんきゅう…

てんきゅう、なんだもん
だからママは…

てんきゅうがおわったら
かえってくる…
いつもかえってきたもん

 

 

 

青空から顔を背け
部屋中に溢れたゴミやガラクタの上を
歩き壁際に背をつけ丸くなり座った

まるで自分も部屋に溢れた
ラクタの一つのようだった


膝に頭を埋め
ただ 一つを 考え続ける

 

 

 

 

 

はやく
はやく

 

 

 


はやく かえってきて

 

 

 

 

 

ママ