eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

Odd eye

 

 

 


「どうぞ、こちらへ」

 

 

 


扉を開けた先は
天井の高い空間だった


小さな子供が三人は入りそうな
暖炉が壁際にあり
一方の壁には床から天井まで
長いカーテンが一面に垂れていた

 

 


案内人はソファを覆う布を取り
マリアという背の高い女と
マリアに寄り添う婚約者の男性に
座るよう促した

 

 

 

 

 


「カーテンを開けましょうね」

 

 

 

 

 


案内人が重たく垂れ下がる布を
引き開けると午後の柔らかな光が
一面の窓から降り注ぎ
舞い散る埃がキラキラと
辺りを漂った

 

 

 

 

 


「この屋敷に纏わる話を聞きたい、
との事でしたね」

 

 

 

 


「ええ、私の家で代々伝わる聖書が
あるんですが
そこに小さな書き込みを見つけて…


チャンミン ユノと
書いてありました」

 

 

 

 


案内人は眼鏡越しに
ソファに並ぶ二人を見た

 

 

 


「あなたはチョンユンホさんの
お孫さん」

 


「そうです
チョンユンホは
私の曾祖父になります」

 

 

 

 


「私はキーです」

 

 

 


キーが握手を求め身を屈めてきた

 

 

 


薄い色付き眼鏡が窓から
差し込む光に反射し
レンズ奥のキーの眼を隠した

 

 

 


温かなキーの手に包まれ
マリアは体に流れ込む哀しみを感じ
戸惑いキーを見上げた

 

 

 


キーはすぐに手を離し
マリアの婚約者にも握手を求め
自分は暖炉脇にある
ソファと対になる揺り椅子に腰かけた

 

 


「広い部屋でしょう?
この屋敷には
こんな部屋がいくつもあります


昔はたくさんの人で溢れ
笑い声が響いていたそうですよ

 

 

 


察するにチャンミンの名前から調べて
ここに辿り着いた、という事でしょうか」

 


「そうです
シム チャンミンさん、その方と
チョン ユンホの事は
両家でタブー視
されているようですね」

 

 

 


ふふ、と笑い
「わかっていながら
なぜ、あなたは知りたいのですか」

 

 


「…わかりません

 


『何が善であり、何が悪であるのかを
決めるのは創造主なる神です』

 


この言葉の横にあったからかも
しれません
…調べずにはいられなくて」

 

 

 


呟くように答え
黒目がちな瞳を伏せると
婚約者の男が腰に腕を巻き
寄り添った

 

 

 

 


キーはそんな二人を見つめ

 


「この屋敷を管理する人間として
知っている限りの
お話をしてあげましょう


僕が伝え聞いた話をね」

 

 

 

 

 

 


キーは揺り椅子を揺らすと
火のない暖炉を見つめ話を始めた