eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

待ち合わせ 22Final

 

 

 

 

 


オニュは、この世の人間ではないような
現実感のない世界にいた


やるべき事だけを考え
足を進めた

オニュを見ると慌てて
避けていく人間が何人かいた

 

まだ、血が付いているのだろうか
オニュは思ったが違った

 

オニュから放たれる狂気を感じ取った
人間が、纏わり付いている死の呼びかけに
気づき慌てて離れて行ったのだ

 

 

自分が勤めていた店の近くの暗がりに
潜みながら
テミンの事を考えていた

 


なぜだか笑いあった記臆ばかりが浮かんだ

 


とんでもない寝癖

呆れるほどの物忘れ

2人で歌い踊った記臆

テミンの瞳に差し込んだ朝陽

 

 

 

 

 

 

オニュの口元に微笑が浮かんでいた

男を捉えたのだ
振り向きざまに見開いた目を見つめながら
男の肉に刃物を突き立てた
一回 二回

 

 

男が倒れてもやめなかった
馬乗りになり静かに淡々と腕を振り上げ
刺し続ける姿は
取り憑かれているようだった

 

 

赤い血が飛び散り
微かに口を開けている
白い仮面のようなオニュの顔を染めた

 

 

 

やがて刃物がボロボロになり
肉を突き通さなくなるまで
突き刺し続けた

 

不意に糸に吊られているかのように
オニュは立ち上がった
両手が傷つき血が流れていた

 

人を刺すと自分の手も傷つくのだなと
ぼんやり考えたが
赤く流れている血が
自分の物か男の物かわからなかった

 


血の匂いが辺りを満たしていた

 

 


使い物にならなくなった刃物を
放り捨て男には一瞥もくれずに
歩き始めた

 

 

 


心はテミンに飛んでいた

 

 

 

 

 

 


月が道すじをつけている
夜の海にオニュはいた


夜空には星が光り月が輝いていた

 

うちよせる波に抗って
海の中へ
中へと進んだ


オニュは水面から顔を出し
笑っていた

 

テミンとの約束を思い出していた

 


『僕が死んだらね
オニュヒョン

 

天国で待ち合わせしようね
天国は広いと思うんだ

 


わからなくなったら困るから
僕、入り口の所でヒョンを待ってる

 

 

 

入り口の所で


待ち合わせだよ ヒョン』

 

 

 

 


オニュは漂う波の中で寛いでいた


俺は天国に行けるかな
テミンに会えるだろうか


もしかしたら
今は行けないのかもしれない

 

だけど、必ず、行くよ
テミンは、ずっと、待っているだろう


俺が行くまで
待ち続けるだろう


死は恐れ忌み嫌うものではなく
オニュにとって優しい許しのように感じられた

 

 

 


波間から顔を上げ空を見ていたが
その目にはテミンの笑顔が映っていた

 

 

 

 

 

やがてオニュは自らの意思で
海水に沈み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 


テミナ、今 行くよ

 

 

 

 

 

 

 


END