eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

メビウス 14 再会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーは逃げ場を失い
車に残してきたテミンを思った


何か方法はないかと
頭脳が高速回転したが
どう考えても逃げる場所はなかった


その時窓を突き破り
石が転がりこんできた


ガシャンという音に男が窓に振り向いた


キーはその一瞬を逃さず
机に飛び乗り
ナイフ男の背中に飛びかかった


腕を押さえ込み武器を奪おうとしたが
男は強靭だった


キーは背中から振り落とされ
腰を強打し一瞬目が眩んだ

 

 


キーに近寄るナイフ男の前に
見知らぬ男が滑り出て来た


床に伏せ近づいてきていた男は
左膝を軸にして滑り込み
右足で相手の足を薙ぎ払った


ナイフ男は、倒れながらも
凶器を鋭く振り回した


突然、現れた第二の男の腕がパックリと斬られていた

 

 


キーが動こうとすると

 

 


「動くな!
俺がやる!お前は手を出すな」


そう言ってスーツの裾を翻して
立ちはだかった

 


男は黒いスーツを着ていた

 

 


ジンギだ

 

 


ジンギだと、キーは思った

 

 


見上げた先には、
前方のナイフ男に神経を集中させ
全身の筋肉を闘いに備え
汗で顔を光らせているジンギの白い
横顔が見えた

 

 

 


ナイフ男は汗とよだれで顔を光らせ
にじり寄って来た

 

 


「お告げだ殺せと命令が出ている」

 

 

 

 


丸腰のジンギは男を見据え
まるで前方にナイフを持った男など
いないかのように
スイッと近寄った

 


男がナイフを振り上げながら
飛びかかり
ジンギは飛び退りながら
ふわりと動き

右足で男の脇腹に蹴りを入れた


男が前のめりになった所で
ジンギは両手を握りしめ男の頭上に
勢いよく振り落とした


倒れこんだ男の手首をグシャッと音が聞こえる程踏みつけナイフを取り上げた


男は静かになった
ハアハアと荒い息をするジンギの息遣いが部屋を満たした


「…血が
…血が出てる!」

 


ジンギの腕から流れる血を止めるため
持っていたハンカチで
上腕をきつく縛った

 


「…それじゃ…
それじゃ、あなたがオニュなんだね?
オニュ…ヒョンなんだね?」

 


険しかったジンギの顔がゆっくりと
ほころんでいった

 


「覚えてる…
その、笑顔なら覚えてる…」


キーはいつしか泣いていた
自分でも止められなかった


「…泣き虫」


オニュはキーの頬に手をあて
優しい眼差しで見つめた


その時、「キーヒョン、まだあああ?」
「って、部屋めちゃくちゃじゃん
何があったの?」


「テミン!」


一瞬、2人ともテミンに目を向けた


気を失っていたはずの男が
意識を取り戻し
そばに倒れていた施設長の胸から
ナイフを抜き取りキーに突き立てようとしていた


それに気がついたオニュがキーを抱き込み覆い尽くし
オニュの右肩に激しい振動と共に
ナイフが振り下ろされて行く様子が
キーにはスローモーションのように
見えていた


「オニュヒョン!!
やめろおおおお!!」


キーは男に頭突きを食らわせた


テミンが駆け寄りふらついている
男の急所を蹴り上げ
痛みに呻き蹲る男を2人がかりで押さえ込み机に縛り付けた

 


「オニュヒョン!オニュヒョン!」


「キー、やったな
お見事だ
テミンもすごかったな」


「えっ⁉︎…誰?」


「テミン、オニュヒョンだ
ああああ!後で説明する!


ヒョン、病院!救急車!」


「…大丈夫だ 問題ない」


「あんた、ナイフが刺さってる!
肩に刺さってる!
大丈夫じゃないよ!」


「テミン!オニュヒョンは
命の恩人だぞ!


救急車を呼んでくれ!
それから警察も」


「はい!」

 

 

 

 

 


「テミンは大きくなったな」


「みんなだよ、ヒョン
みんな大きくなったんだよ」


「…また、泣いてる
俺の周りは泣き虫が多いな」


優しく頬を拭われながら
オニュも泣いている事は
言わないでおこうとキーは思っていた