待ち合わせ 20
オニュはいつまでも
テミンを抱いていた
テミンは自分の手の届かない所へ
行ってしまった
俺を置いて
テミンを抱きかかえ道端に蹲っていたが
疲弊した人々は他人に無関心で
誰一人声をかける者はいなかった
やがて、オニュはテミンをそっと
横たわらせ
突き立つ刃物を抜き取った
大切なテミンの体に食い込む凶器を
両手でテミンがなるべく
痛くないように
傷つかないように
ゆっくりと引き上げた
知らず息を止めていたオニュは
刃物を握りしめ
襲ってきた男の顔を思い出していた
男の顔がはっきりしてくるにつれ
オニュは獣のような咆哮をあげ
テミンにすがりついた
あいつは
俺が半殺しの目に合わせた男じゃないか
テミンは俺を庇って死んだ
テミンは
死ぬ必要はなかった