eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

メビウス 9 辿る

 

 

 

 

 

 

 


キーは、女が勤めている会社の
雰囲気に合わせて洋服を決めた

女が自分といるのを周りに見られても
仕事上の関係者だと言えるように
配慮した

テミンと交代で張り込み
女の行動パターンを掴み
会社から駐車場に向かう途中に
トライをする事に決めた


女が会社を出て
いつものように駐車場に向かって行く

キーはさりげなく後ろにつき駐車場に入る前に声をかけた

「あの!ちょっとよろしいですか?」


振り向いた女の目により
相手をするべき人間かどうか
自分が、測られているのを感じていた

どうやら合格したようで
女は微笑みながら
「何でしょう」と聞いてきた

キーは勝気で頭の回転の速そうな女を見て直球勝負でいくことに決めた

「ジンギさんの事で伺いたい事があるのです」

女の顔が固まった

「あなたは?」

「失礼致しました、私は探偵です」

キーは名刺を渡した

女は名刺を見つめ
キーをコーヒーショップに誘った


暖かなショップの中で
2人はコーヒーを挟み座っていた


キーは女を観察したが
女もキーを観察していた

「…それで?私はどうかしら?
良い勝負になりそう?」

「素敵な方だと思って目が離せなかっただけです、不躾に見てしまい
申し訳ありません」

「さあ、話に戻りましょう
なぜジンギの話を聞きたいの?
どうやって私の所に来たの?」

キーはジンギ探しの依頼があり
唯一の手がかりが女の名刺だった事を伝えた

「あの子ね、、、
あの子が依頼人なのね」

「………」

「言えないのか…
でも、探偵さんに頼むという事は
本当にあの子も行方を知らないのね…」

女はカップの持ち手を撫でながら
話し出した


「私は、あの子に嘘を聞かせたの
あんまりにも、あの子がにぶいから

ジンギから、あんな視線で見られていたのに気がつかないなんて…

私が欲しくてたまらなかったものを
あの子は最初からぶら下げていた…

久しぶりに嫉妬という気持ちを
味わったわ」

女は独り言のように
喋っており、キーはジンギに惹かれていたこの女が、あの、地味な弁当屋の娘こそがジンギが気にかける女なのだと
直感し、嫉妬した、という事だろうと推量した

「ジンギという男性とは
まだ連絡は取れないのですか?」

「そうよ、私が頼みたい位よ」

「彼に関する事を話して頂く事は可能でしょうか?」

「…いいわよ
仕事に影響があるわけじゃなし
大してお話出来る事もないしね」


女はジンギとの出会いを話し始めた

 

「私が初めてジンギを見たのは
取引先との接待で訪れたホストクラブだったの

私達のテーブルに着いたのが
ジンギだったわ

他のホストと比べてテンションが違いすぎて
目が離せなかった

話しているうちに
お互いの地元が近い事がわかったの

私が生まれ育った場所を彼は良くしっていたわ

当時、小さな街で起きた行方不明事件を
覚えてるかと聞かれて驚いたわ
その話を知っているなんて
本当に私の近くで生まれ育ったんだろうと
思ったし」

女はコーヒーを一口飲み
窓の外を見た

「ジンギは私の名刺を見て
行方不明になっている人と同じ名字ですねって言ったの
その事を覚えてる人がいるなんて
驚いた
行方不明になったのは
私の叔母なのよ」

 

「叔母は事故に巻き込まれ殺されてしまったのかもしれないと警察も動いたわ
だけど、見つからなかった

もうすぐ時効がくるわ」


キーは女の話を聞いて衝撃を受け
体が宙に浮いているような気持ちだった


「どうかしたの?」


動きの止まってしまったキーに
女が聞いてきた

 

「いえ、それで…ジンギは、他に何か聞いてきましたか?」


「……」

ためらう女をみて
キーは女の弱点を突く事にした

「ジンギさんを見つける手かがりになるかもしれません
どんな些細な事でも良いので
教えていただけないでしょうか」

「ジンギが見つかったら私にも教えてくれるわね?」

キーは黙っていたが
正式に契約も交わしていない女に情報を渡すつもりは無かった

女はジンギを諦めきれない気持ちが勝ったらしく話し出した

「行方不明になった叔母には
一人息子がいたの
その子の事を聞かれたわ

昔から暴力的な子供でね
問題を起こしてばかりいたけど
最近のあの子は、完全にイカれてしまったと思うわ

あの子は叔母は殺されたと確信してる。
夢に出てくるんですって

息子として復讐しなさいと
叔母があの子にささやくそうよ

あの子、当時の記録をかなり探していたわ」

「それをジンギに話したんですね?」

「そうよ
でも、会ってすぐにじゃないわ

何回か会って、ジンギになら
話してもいいって思えたから話したの

外で会った時にあのお弁当屋さんにも
行ったわ

ジンギも自分ではわかってなかったわね
あの子を見る自分の目を


お互い他人行儀だったけど
何かあるってすぐにわかったわ

だからプライドを捨ててあの子に
会いに行った時
自分が好かれている事に気がついてもいない鈍感なあの子が憎たらしくて
意地悪したの

ジンギさんと体の関係があるような事を言ってやったの
あの子青ざめてた

実際には私には何も求めなかったわ
私は欲しかったのにな…」

女は独り言のように呟き終えた


「その…

叔母様が行方不明になった施設の名前を教えて下さいませんか」


女は唇を湿らせてから言った
「青池
青池施設よ」

 

 

 

 


ビンゴ

 

 

 

 

 

 

キーはテーブルの下で指を絡め
魔除けのまじないをした