メビウス 8集合
目指す店に近づくと
肉の焼ける匂いと煙が辺りを漂い
ガヤガヤと賑やかに人が行き交っていた
「いらっしゃいませー!」
右肩上がりな明るい発声で
客を歓迎する声が店内のあちこちであがっていた
「…よお」
「来てやったぜ」
「食わしてやるぜ」
「ちょっとちょっと
何、出合頭にマウンティングしてるんですか
はいはい、行きますよ」
「美味しい肉出してよね」
「俺がまずい肉出した事あるか??」
ミノはキーの肩を抱きながら
案内した
個室に通されミノも合流した
「あれえ、オーナーさんは
働かなくていいの~」
「うちのスタッフは優秀だ!
全幅の信頼を置いている!
それにここは共同経営だ
真のオーナーはジョンヒョンだ」
「ああ、そうですか、
ミノヒョンがいると焼き方にうるさくて
食った気がしないんだよね~」
「テミン!何度言ったらわかる!
最高の肉には最高の焼き方があり
最高の焼き方をもってして
最高の味が引き出されるんだ!
お前もここで働け!
俺が肉への愛を叩きこんでやる!」
「暑苦しいよ、ミノヒョン」
テミンが綺麗に微笑みながら
言うとミノは大きな目を瞠り
口をパクパクさせていた
「嘘だよ!ここの肉は最高です
ここの肉食べたら
他所の肉は食べられたもんじゃない!
これ、本当~」
「……テミンーーー!
ヒョンがたーくさんっっ
焼いてやるからな!
キーも、ついでに食ってけよ」
「ついでって何よ
俺もたくさん食べるからね」
「ジョンヒョンは?」
「今、食材買いに行ってくれてる
ヒョン、八百屋さんに人気でさ
めちゃくちゃ安く仕入れてくる上に
おまけも豪華なんだよな~
ま、こっちもそれなりにもてなしてるけどね」
3人が笑いながら食事を楽しんでいると
ジョンヒョンが入ってきた
「コンコン~
自分で言っちゃうよ~
よう!元気?」
「昨日も会ったじゃん」
「挨拶だろ~たくさん食ったか?
もっと持ってこようか?
テミン、お前はもっと食え
細すぎるぞ」
「いいの、適正体重です」
「テミンが…テミンがこんな難しい単語を言えるようになったぞ!!」
うわあああとテミン以外の3人が
肩を抱き合い泣き真似をした
「……それで、キーヒョン
さっきの依頼人の話だけど教えてよ」
「ああ、うん…
ジョンヒョンもミノも半分はうちのスタッフだから聞かせるけど内密に」
「わかってるよ」
キーは
ナツが話していった内容を伝えた
「メンチカツが好きなジンギね~」
最初の手がかりが名刺を置いていった
女にある事を教え
2人に見せた
「あれ、この人、知ってるかも」
「「何で⁉︎」」
「うちの店で部下引き連れて忘年会していった人だと思う
プライベートでも良く来るよ
なあ、ミノ?
男とも来てたな」
「…それって」
「「「メンチカツが好きなジンギ?!」」」
「ええええー!
何⁈俺達、依頼人の探してる男
見てんのー?」
「ミノ!!
人相を書け!特徴を書け!」
「ええええー
覚えてないよ~~」
「なるほど…
①物静かで喋らない
②女ばかり話していた
③何を考えているのかわからない顔だった
④黒いスーツを着ていた
なるほど…」
4人は黙り込んだ
「……女の所に行きますか!」