eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

メビウス 5 影

 

 

 

 

 

 

 


それから、時々ジンギはナツのアパートに
ふらりと現れた


抱かれたのは、あの時一度きりで
それ以来、ナツには手も触れなかった

ナツはジンギが来るのを待ち
いつでも、もてなせるよう
部屋に気を配り食材も補充していた

だが、ジンギには見えない壁があり
ナツはどうしていいか
わからなかった

 

 

ある時店に垢抜けた綺麗な女が現れた
ジンギが連れていた女だった
ナツに聞きたい事があるという

店主に断りを入れ
店の外のチカチカ瞬く街灯の下で立ち話をした

「…なんの御用でしょうか」

「お仕事中に、ごめんなさい
ジンギ…さんの事で伺いたい事があるの」

「……」

「あなた、ジンギさんとどういうご関係?」

ナツは不躾な質問に怒るでもなく
真面目に考えた

私とジンギさんはどういう関係なんだろう
一度だけ体を繋げたが
もはや、それも本当にあった事なのか
ナツの中では希薄になっていた

「私と…ジンギさんは…
ただの知り合いです」

ナツは考えた末にそんな事を言っていた

「…嘘」


女はナツを見据えていた

「最初に言っておくけど
私はね、ジンギが好きなの」

ナツの顔を真っ直ぐ見ながら言った

「あなたは昔からの知り合いか何かなの?」

「…いいえ」


「そう、そこは私と同じなのね」

 

「お仕事中にお邪魔しているから
手短に言うわ
ジンギと連絡が取れなくなったの
あなたの所に彼は来てない?」

「お店にはいらしてません」

「そう…」

ナツの目をじっと見つめ

「以前、ここに来た時に
あなた方には何か関係があるんじゃないかと感じたの

それで、来てみたわけ」

 

「もし、ジンギが来たら
私に連絡して欲しいの

私が彼の力になりたがっている、それから…

それから、あの事はもう気にしてないって」


女は聞かれもしないのに
喋り続けた

「あの事ってね、ジンギって
時々、手荒に私を抱く時があるのよ
でも、私は気にしてない

そういう意味よ」

ナツから視線を逸らさず
美しい笑顔で秘密を分け合うかのように
話してきたが
ナツはどう反応すればいいのか
わからず黙っていた

女は話し続けていたが
ナツには途切れ途切れにしか
頭に入ってこなかった

ジンギさんは
この綺麗な女性を抱いていた
好きなんだろうか
手荒な抱き方をする位
何度も愛し合ったのだろうか

私に手を出さなかったのは
私に魅力がなかったからなんだろうか

自分の考えに集中していたナツは
女に腕を揺さぶられ
ハッとした

 

 

「帰るわ
もし、ジンギから連絡があったら
私に教えて欲しいの
お礼はさせていただくわ
仕事のお邪魔をしてごめんなさい」

女は車に乗り込み走り去った

 

ジンギさんと連絡が取れなくなっている…


私は本当に何も知らない
ジンギさんがどんな時間を過ごしているのかも…


女から渡された名刺を見つめながら
手荒い抱かれ方とは
どんな抱かれ方なんだろう

あの綺麗な人にジンギさんは欲望を抱いたんだろうか

また、その思考に戻っていき
ナツの胸に熱い炎が急激に燃え盛った
ジンギの唇や体を這う手を想像してしまい
頭を振って思考を止めた

やめよう
考えても仕方のない事だ

 


ジンギさんは、どこにいるんだろう

 


ナツは電灯がチカチカと映し出す
自分の影を見つめ仕事に戻らなければと
ぼんやり思っていた