eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 13

 

 

 

 

 

キーは、一線を超え続けた

 

キーという人間が
元からそういう性質なのか

自分がそうさせてしまうのか

ハニにはわからなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...誓約書?」

 


テーブルに置かれた一枚の紙を見て
ハニは目を丸くした

 

「そう、書いて」

 


キーは新聞を取って、というような
調子でさらりと誓約書に
サインをするようハニに迫っていた

 


「...私達の間に誓約書、が必要ですか?」

 

「ハニ、人間誰でもうっかり、
うっかりだけど
約束を忘れたりルールを
破ったりする事があるよね

それを戒めるために
とっても有効な手段なんだ」

 

ベランダからさぁっと風が吹き込み
雨の匂いが通る

 

窓を閉めようと立ち上がりかけたハニを
制しキーが窓辺に立った

 


「ハニ」


「はい」


「天泣、覚えてる?」


「はい」


「君は、何回、天泣を見た事がある?」


「一度だけ、あなたと一緒に見た
あの時だけです」

 

「...僕は二度ある」

 

「それは、いつな...」

 

「さあ、ハニ!サインして?」

 

パンッと手を合わせ
キーは突然、話を変えた

 

キーの許しなく外出しない事
キーに全てを話す事
キーに嘘はつかない事
キー以外の人間に心を開かない事


それ以外にも生活の細々とした事が
羅列している

領収書は全て出す事
キーの部屋には入らない事


守れなかった場合
どんな罰でも受ける事

 

「ハニ、二人だけの誓約書だよ
そんなに難しく考えないで?」


ハニの背後に回り込み
肩に手を置いた

 

 

「僕はね、君に全部あげる」

 

 

柔らかく包み込まれ
キスをされた

 

優しく愛おしむようなキスは
ハニの心を蕩かした

 


唇を離したキーは


「全部だ」


真っ直ぐな強い眼差しで
ハニを見た

 

ハニはペンを取り
誓約書にサインをした

 

 

 

二人の背後の壁には
拭いきれない小さな染みが飛散していた