eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 12

 

 

 

 

 

 


皿が次々と割られてゆき
ハニの手作りの料理が床や壁に
ぶちまけられた

 

口を覆うハニは何も言えず
それを見ていた

 


「嘘をつくな!!!」

 

顔を歪めて家中に響くような
絶叫をあげるキーは
何かを激しく求めているようにも
見え
自分の受けている仕打ちより
キーの悲壮感に心を揺さぶられたハニは
立ち尽くした

 


ハア、ハア、と息をつき
テーブルに着いた両手を引き
だらりとキーは立っていた

 

「ハニ 会っただろう?」

 


唇を震わせて
ハニを見つめるキーの瞳は
絶望に満ちていた

 

 

「なんで、嘘つくんだよ
ハニ、何でだよ…何でだよ!!!」

 

 


再び逆上し始めたキーは
ハニの体を引き倒し
首を締めにかかった

 

「嘘つきめ...嘘つきめ!
嘘つきめ!!!」

 

 

ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい  キーさん

 

首を締められながら
ハニは呟いた

 

ザーと耳鳴りが聞こえ始めた時
首元が解放され
ハニは酸素を求めて咳き込んだ

 

キーは壁に背を預け
座り込んでいた

 

ハニは這いながらキーの側へ行った

 

「キー、さん」


「...うるさい」


「キーさん」


「黙れ!!」

 

ハニはキーの頭を抱え
抱きしめた

 

「キーさん、ごめんなさい

ごめんなさい、キーさん」

 


ハニは最初から説明した
全てありのままに説明した

 


「キーさんは、私が他の人と...
接触するのが嫌なんじゃないかって
思っていました
だから、だから、言えなかった」


それだけなんです、と
胸元からキーの頭を離し
顔を覗き込むとキーは泣いていた

 


ハニは胸を激しく突かれる

 


いつも強く完全な男として
自分の前に立ち続けるキーが
泣いている

 

キーの乱れた髪を指で梳かし
ハニは涙を自分の指先で拭う

 

白くきめ細やかなキーの頬に
いく筋も涙が流れた


再び自分の胸に顔を埋める男に向かって

今の暮らしが息苦しいのだ

解放されたいのだ、とは

とても言い出せなかった

 

キーの許しが無ければ
外にも出れないこの暮らしが
異常に思えると、
とても言い出せなかった


なぜ、自分の外出を知っているのか
なぜ、家族以外の人間と会った事を知っているのか

キーのあまりの打ちのめされた姿に
全てが飛んでしまった

 

 

愛されている
私は愛されて求められているのだから...