eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 7

 

 

 

 

 

 

 


「ハニさん?」

 

 

 

「私は、、私の心は あなたの
ものではないから」

 

自分の気持ちを口に出し
改めて自身の心に気がつく


私はキーさんを結婚するほどに
愛していない

大好きだけれど
愛とは違う

 

 


「……心?」

 

 

キーは指先で自分の亀裂のある眉を
ゆっくりなぞる

 


「……心」

 

 

独り言のように呟きキーは
ハニに話かけてきた

 

「ハニさん
僕らの出会いが良くなかったかな?」

 

キーは悲しそうに笑った

 

「僕を見ると…辛い思いを今も呼び起こすなら…
全力でそれを忘れさせてみせる

あの時あなたを守ったように
これからもずっとあなたを守ります」

 

 

ハニの脳裏に暗闇で男にのしかかり
激しく殴りかかるキーの姿が蘇った

私は、この人に助けて貰わなければ
今、こうして過ごしている時間とは
別の人生を歩んでいたのだ…

 

 

自分への愛を誓う言葉が
自分が受けている恩をまざまざと
思い返す鎖となりハニに巻き付く

 

 

 

 


キーはハニの前にひざまずき
手をそっと握った

 


「ハニさん  初めて会った時の事
覚えてる?」

 

「…はい、晴れていたのに急に……」

 

「そう、雨が降ってきたね」

 


両手でハニの手を優しく撫でながら

 

「次に会った時あなたは暗闇の中に、
そして次の時は甘い香りの中に」

 

 

僕らは結ばれる運命なんだ

 


キーの呟きにハニは戸惑った
「え?」

 


「僕はずっとあなたが忘れられなかった


あなたを助けたのが僕だったのも
結ばれる運命だからなんだ」

 

ハニの横に滑り込み
体温を感じるほどに体を寄せてきた

 

 


「ハニ」

 

 

名前を呼び捨てにされたのは
初めてだった


それは不思議な力をもち
ハニに響く

 

ハニが顔を上げると
キーの美しい顔がすぐそばにあり
何故か心が惹かれてしまう
あの香水の匂いが漂っていた

 

 


「ハニ」

 


キーは指先でハニの前髪のほつれを
そっと なおす

 


そのまま手を頬に滑らせ
親指でまぶたの下を優しく撫でられた

 

 


「ハニ 」

 

 

 

 


指先からキーの気持ちが
体になだれ込むようだった

 

 

 

「ハニ  僕の 全部を あげる」

 


「僕が守ってあげる」

 


「だから 君も 全部」

 


「全部 欲しい  お願い    ハニ」

 

 


唇に吐息がかかる程の距離で
囁かれハニはキーの世界に
完全に足を踏み入れた

 


柔らかな唇をハニは受け入れた

 

 


二度と後には戻れない
二人の時計が回り始めた