eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

化身6

 

 

 

 


激しい殺気を感じると同時に
テミンが鼻先まで肉迫していた

 

青白い頬に鋭い瞳をきらきらと
輝かせるテミンは
唇を薄く開け歪んだ笑みを浮かべていた

 

「......!」

 


テミンは闇と一体となったかのような
黒い羽根でオニュを拘束し
ゆっくりと自らの手で
オニュの喉元を締め上げる


くっきりとした喉仏が押し潰され
オニュは顔を歪めながら
テミンの腕を外しにかかる


じわじわと力で圧し
オニュはテミンに微笑んだ

 

「テミン」

 

 

黒い羽根がオニュに向かい
剣山のように突き立てられた


大きな白い翼で振り切り
空へ羽ばたいたオニュに笑顔はなかった


ふっ、と柔らかな唇から
吐息を一つ吐き
目を開けたオニュの顔は変貌しており
彼自身もまた
闇を内包しているような
暗い輝きを発し始めていた

 

 

 

 


テミンは
苛立っていた


うるさく付き纏う虫のように
撃ち落としたい相手であり
簡単に出来ると信じて疑わなかった


しかし、相手は倒れなかった
自分の影のように付き纏い
離れない

体の内部が捩れるようだった

己の皮膚の下では細胞の一つ一つが
みみずのように、のたうち、泡立ち
ぷくりぷくりと膨れ上がって
繋がってゆく


次第にテミンはこの闘いに夢中になり
周りが見えなくなって行った

 

 

 

 

 

 

 

オニュは追い詰めれば追い詰める程
生き生きとしてくるテミンに
舌を巻いていた

消耗する所か、細い体からは無限の
エネルギーが溢れてくるかのように
躍動を続ける様は美しく目を奪われた

 

テミンの興奮に共鳴するように
大地に放たれた炎が
陣地を広げやがて暗い夜空を焦がすほどに 
延焼してゆく

 

 

 

 

 

 

 


黒と白の羽根を散らし
大地に激突しては舞い上がり
ぶつかり合う二人を
ジョンヒョンとキーは見守っていた

 

「行こう、キー
ヒョンが...テミンが!
俺たちも行こう!」


羽根を広げたジョンヒョンをキーが止めた


「ダメだ
俺たちはここにいなくては」

 

「どうして!」

 

「ヒョンから言われている
俺たちは俺たちにしか出来ない事があるんだ

ジョンヒョンの力は
この先、絶対に必要なんだ」


キーは瞳を潤ませながらも
ジョンヒョンを離さなかった


「俺の力?

このままじゃ、」

 

 

 


ジョンヒョンの言葉は
炸裂した光に遮られた

 

目も眩むような光が空を満たし
雷鳴が轟く


ビリビリとした電気が空を、地を走り
稲妻が大地に向かい
幾本も突き刺さる

 


「...ヒョン」

 

 

闇と光の入れ替わりは激しく
コマ送りのように闘う二人が
くっきり見えていた


オニュは白く大きな翼でテミンを
巻き込む


テミンの黒羽根がオニュの白い羽根を
突き破り幾本も飛び出したが
オニュはテミンを離さなかった

 

巨大な稲妻はジグザグと曲がりながら
抱き合う二人に
真っ直ぐに突き落された

 

 

キリキリと回りながら落ちる二人の
周りに白と黒の羽根が幾本も
幾本も飛び散った