eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

化身5

 

 

 

 


黒いカゲロウの中でテミンは
細胞が一粒一粒
葉の上を滑り落ちる水滴のように 
形を変え再び融合していくのを
感じていた


寸前まで、何をしていたのか
わからない空白の時間があったが
全く気にならなかった

思考は研ぎ澄まされ
細胞から発せられる欲求は
一つになり
テミンを突き動かした

翼は黒く艶やかに光り
薄闇も煌々と輝く光の中であるように 
見通す事が出来た


灼熱の炎が岩場を襲った時
テミンは神を見捨てた


自分にとって
自分だけが全てであり世界であった

 

 


美しい

 

世界は

 

美しい

 

 

テミンは思いのまま飛び
鋭い羽根で旋風を巻き起こす

 

黒い風に吹かれた大地は生命を吸い取られ
樹々はギシギシと軋み
倒れてゆく


大地を走る獣の群れに
戯れに襲いかかり死の息を吹き込む


獣は面白いように倒れてゆく


テミンから振り落ちた黒羽は
小さな火種となり
あちらこちらでチリチリと熱を持ち
やがてゆっくりと炎が大地を舐めてゆく


月明かりに照らされた大地が
赤い炎に包まれ煙を上げ燃えていく様は
身震いする程愉快だった

 

 

美しい
素晴らしい夜

 

登り切った、大きな満月の光が
燦々と体に染み込み
力を増大させるようであった

 

もっと...

 

もっと...

 


世界が滅びるまで 全てを...

 


テミンの陶酔は突然現れた男により
遮断された

 


「テミン」

 


知らない男だった

 


「テミン、ミノが羽根を切られた」

 


男の瞳がきらり、と光るのが見えた

 


「テミン、ジョンとキーが待ってる」

 

 

テミンは自分の声に耳を傾けていた

 

 


消せ

 


全て

 


滅びるまで

 

 


ああ...

 

興奮が体を駆け巡り
羽根がチリチリと焦れて揺れるのを
感じた

 

ゆっくりと瞳を開け
初めて焦点を結び男を見たテミンの顔は
月明かりに照らされ
邪の化身のようであった