eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計〜番外編 冬の星②

 

 

 

 

番外編〜冬の星 key 〜

 

 

 

キーは坂道を登っていた

職員室での騒ぎが蘇る


『落ちてた!?キーが?』


『キーが受からなきゃ誰が受かるんだよ』


『とっ、とにかく!焦らないで!?
色んな道があるから、ね?
一緒に考えましょう!?ね?』


泣き止んだはずの瞳に
じんわりと涙が浮かぶ


ふうっと息を吐きキーは坂道を見上げた


自分自身、手応えがあっただけに
この落選に
納得出来るだけのものもなく
自身を否定され必要ないのだ、と
拒絶されたようで
それが辛かった


俺は自惚れていたんだな

それに、自分の合格を信じて疑わなかった家族...

自立して、家族の力になるはずだったのに...

悔しさと悲しみは
考えれば考えるほど湧いてきた

でも...

これが現実なんだ

こうなった以上、別の道を進むしかない 

キーは冬の夜空を見上げ
坂道を再び登り始めた

 


家の玄関前に立つと様々な匂いが
してきた

 

「カレーライス...と餃子、と唐揚げ?」

 


胸を突かれる家庭の匂いだった

この香りだけで家族の
自分への気持ちに包まれるようだった


玄関扉を開けると、たくさんの靴が
乱雑に置かれている

丁寧に並べ家に上がる


家の奥から、騒ぐ声が聞こえてきた


「だぁかぁらぁー!ヒョンでしょ?」


「は?何がですかぁ?」


「もう〜!こ!れ!!
白状してよ!さっさとさぁ

リップクリーム、戻さないで蓋したの
ヒョンでしょって言ってんの〜!
リップが潰れてる!」


「は?俺ァ、そんなこたあ、したことねえですけども?」


「変じゃん!その返事がもう変じゃん!
ぜっったい、ヒョンだろ!」


「もー、うるさいなあ、早く餃子
包めよ〜」


「だって!ジョンヒョ、ヒョニヒョン
オニュヒョン、笑ってるもん!
絶対、犯人だ!」


「...ただいま〜」

 

リビングに顔を出すと
みんながキーを見た


「「「「おかえり!」」」」


「た、ただいま...」


「キー、残念だったな」


「...うん」


「悔しいな」


「うん、まあね」


「キーヒョン、キーヒョンの」
テミンが話し出したが
瞳からポロポロと涙が零れてしまった


両手でゴシゴシと目を擦るテミン


「テミナ〜、泣くなよ〜
さっきまでの元気はどうした!」
キーがテミンを引き寄せ
頭を撫でた


「なんか、、顔 見たら」
テミンが袖でグイグイと顔を
拭った

 

ミノが近寄りテミンごとキーを抱きしめる


「しかし、キーを落とすなんて
バカな人事だ」


「この損失はでかいぞ」


「この穴は埋まらないぞ」


「億単位での損失だぞ」


「とりあえず、そいつは夜道は気をつけたまえだな」


「オニュヒョンの中指がお前の
おでこを狙っているぞ」


「そんな見る目のない所に
うちのキーはやれんな」


「そうだぞ、キーはうちの宝だ」


「百億くれたらどうする?」


「だめだ、だめだ!キーが欲しいなら
金じゃだめなんだよ、テミン君」


「じゃあ、何ならいいの?」


「黙り給え、テミン君
世の中、金より大切なものもあるのだよ」


「でも、百億だよ」

 

「あのさ」


キーが話し始めた

 

「俺、必ず自立する
だから、もう少し時間を下さい」

 

オニュとジョンヒョンが顔を見合わせた

 

「キー、今でも充分お前はみんなの力になってるよ

お前が望む道に進めるまで 
俺たちで出来る事は
何でもするつもりだし
家はここにある

だから、ゆっくり、また考えて行こう」

そう話しかけるオニュの頭は
ボサボサでいつもの青い半纏を
着込んでいる

 

「キー、みんなでまた、頑張ろうぜ」

 

ミノが顔中に笑顔を浮かべ
肩を叩く

 

「キーヒョン 今日のご飯
何だと思う?」

 

テミンが目をミカンの房のように
フニャとさせ笑いかけてきた


「今日のご飯、すごいよ!」

 


しゃいに兄弟の屋根の下
五人は集まり
何物にも代えられない
家族だけが過ごす事の出来る時間を
過ごしていた