eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計 57

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十月~数珠玉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ぐちゃぐちゃと絡まる兄弟を
オニュとキーが整列させていた

 

 


テミンは母親の背中に乗り
外に現れた

 

 

 


「ああーー
テミン、母さんから離れなくてなー
綺麗な服着てんだから
降りろって言ってんのに
なかなか降りなくてさ」

 


母親がオニュに近寄ると
テミンはオニュの背中に乗り移り
肩に顔を埋めた

 


「出た!
地面に足をつけないテミナ!」

 


「可愛いなあーー
ああ、もう一度あのテミナに
会いたい…」

 


「…ロリコンか」弄られるテミンは
タツの天板に顎を乗せ
冷たい目線で兄を見た

 

 


キーが駆け寄り
父親と撮影を交代した


笑顔で寄り添う母と父が
子供たちと玄関前に立つ映像が流れ
兄弟はそれぞれの思いを胸に沈黙した

 

 

 

 


映像はそこで一度切れ
次は幼稚園の教室に変わっていた

 

 


観客席の床に直に座る
オニュ、ジョンヒョン、キー、ミノの
後ろから父が撮影しており
時折、振り返り両親を仰ぎ見る
幼い兄弟が映し出されていた

 

 

 

 

 

 

 


先生のピアノに合わせ
園児たちがセリフや歌、ダンスを交える
ミュージカル形式の
発表会でテミンの組は
「海賊の冒険」がテーマだった

 


テミンはたくさんいる海賊の一人で
白いハイソックスに白い上履き

幼稚園の紺色の短パンを履き
腰にアルミホイルで光らせた
ダンボール製の剣をぶら下げて
舞台に現れた

 


自分の意思で、というよりも
周りの子に押されたり
立ち位置を指差されたりして
テミンはぼうっとしていた

 

 


やがて、宝箱を見つけ喜びの踊りを
踊る場面になり
先生のピアノにも力が入り
園児たちはニコニコと笑顔で 
踊り始めた

 

 

 


しかし、テミンは隣の子を
見つめたまま動かない

 

 

 

 

 


その時「テミン!テミン!」
と声が入り込んできた

 

 

 


観客席にいる兄達
オニュ、ジョンヒョン、キー、ミノが
手を振りテミンに呼びかける声だった


ひそひそ声のつもりなのだろうが
その声はかなり響いており
撮影している父が
動揺から震えたのか
ガクっと映像が乱れた

 

 

 

 


兄達は家でテミンと振り付けを
何度も練習したので
完璧に覚えていた

 


テミン!と注意を引き
ピアノに合わせて兄達が座ったまま
小さく振り付けを
踊っているのが画面に
映っている

 


テミンは兄達を見ると
パァっと笑い
動きに合わせて
突然踊りだした


幼いながら素晴らしい
深さの角度の動きで
おおっとざわめく周囲の声が入っていた

 


海賊のダンスが終わり
舞台袖に引っ込むと大きな
拍手が鳴り響き
兄弟が
撮影している両親を振り返り
手を振ってきた

 

 

 

 

 


グスッと鼻をすする音が聞こえ
オニュがコタツに突っ伏していた

 

 

 


「ちょっと~泣き真似すんなよ」

 

 

 


覗き込んだジョンヒョンが
え、うそ…と驚いた

 

 

 


「ヒョン…」

 

 

 

 


キーがティッシュをオニュに
渡した

 

 

 

 


「ごめん
色々思い出しちゃってさ
年取ると涙もろくなるって本当なんだな」

 

 

 

 


鼻をかみ、オニュはテミンを見た
「お前に話がある」