eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 22

 

 

 

 

 

着替えを持ち
病室を訪れると
キーはベッドにもたれ掛かり
空を見ていた

 


「ハニ」

 

 

前髪を下ろしふんわり笑うキーは
清浄そのもので

何が現実なのか
ハニは目眩を感じた

 


「ハニ?大丈夫?」

 

 

手を伸ばすキーを見て
ゆっくりと近づく

 

「ハニ」

 

キーが体に触れた時
恐怖で震えてしまうのを
どうしても抑えられなかった

 

 


「ハニ...僕はね 親に棄てられた子なんだ」

 

 


顔を上げると
血の気が引いたキーが
ハニを見つめて悲しげに唇を歪めていた

 


再び枕に頭を落とし
空を見つめながらキーは話続けた

 

「僕に父はいるんだろうけど
僕は知らない

母と二人で暮らしていたから」

 

「母の事、大好きだったよ
僕の全て...
僕の全ての世界だった」

 

「母は...普通の親のように
子供を育てる事が出来ない人だった

僕を置いたまま帰って来ない事があったよ
何度も、、何度もね」


「僕は部屋の窓から外を見て
待っていた
母の姿が見えるのを

仕事が終われば帰ってくる
だから、留守番してなきゃいけないんだ」


まるで独り言のようにキーは
語り続けた


「帰って来れないのは仕事だから...

だけど、母は
ある日出て行ったきり帰って来なかった」

 

僕は待った
部屋の中で


お腹が空いて食べ物を探したけど
なんにもなくて

水を飲もうと蛇口を捻ったけど
なんでかな
水が出てこないんだ


僕の体は骨ばかりでね


僕は部屋の中に散らばるゴミと一緒に
そこに埋もれていたんだ


家主さんが見つけ出してくれるまでね

 

ハニ、君は僕が品があって
育ちが良さそうだという

それは僕が創り出したものだ
僕が努力して身につけたものだ


本当の僕はね
ゴミに埋もれて棄てられるような
価値のない人間なんだ

 

 

ハニ

僕は

棄てられた子なんだよ