天泣 20

「キーさん、入院したんだって？」

「...なんで知ってるの？」

「株主総会に行けなくなったって
連絡があったんだもの」

「株主総会？」

何も知らないハニに母はひどく驚き
父親の会社が倒産寸前だった時に
キーが出資を行い持ちなおした事を教えた

「キーさんが...？」

「そうよ、キーさんは家族の
恩人 お母さんだって...」

「お母さん、何かあるの？」

「違うわよ、お母さんにとっても
恩人であるって話よ

ハニをこんなに良い暮らしで
支えてくれてね
本当にあなたは良い人と巡り合えたわよね」

何かを誤魔化している、直感で
感じたハニは電話を切り
キーの部屋の前に立った

キーの部屋には入らない事

誓約書が浮かんだが
ノブにかけた手に力を入れた

扉は音もなく開き
ハニはキーの部屋へ足を踏み入れた