eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

メビウス 1 key

 

 

 

 

 


四つん這いで歩いていた
不安で胸がざわめき
同じ場所をくるくると四つん這いで
歩き回る

どうする事も出来ないのに
間も無く自分に最後が訪れる確信があり
パニックを引き起こす焦燥感に飲み込まれ考える事が出来なくなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いていた
この夢を見て起きると必ず泣いている
もしかしたら声も出しているかもしれない

 

この夢は、キーが最も嫌う
視界に入れたくない物、耳にしたくない物
例えば
汚物や不潔さ 醜い争い声 灰色の光の射さない空間を連想させた

起きた瞬間から
鈍い頭の痛みを覚えて憂鬱になったキーは
体にまとわりついた気持ちの悪さを洗い流そうと起き上がった

 


夢だ
ただの夢だ

 

 

キーは布団から滑り出て
窓を開けた

 

 

 

 

 

 


キーが探偵事務所という名の何でも屋を
立ち上げて
2年が経っていた

色気のない灰色の雑居ビルの一室で
様々な客に対応した


浮気の調査の張り込みや
犬猫探しから人探し
どんな依頼でも引き受けた

あまり複雑でない作りの物なら
鍵開け依頼も応じた

元来、人好きで寂しがり屋でもあった彼は
立ち上げ当時は人の良さに
付け込まれ依頼金を踏み倒されたり
報酬をはるかに超える労働を強いられたり
数々の失敗を経験してきた

その都度、自分に足りない物は何か
どうしたらもっとスペシャリストになれるか考え
1つ1つスキルを積み上げ
完璧な自分を作り上げようと
努力を続けた


今では
客との交渉も上手くなり
相手を気持ち良くさせながらも
こちらの主張を押し通す強さを手に入れた

ある日キーが事務所への通路を歩いていると
扉の前に女が立っていた

女はキーを見ると
お辞儀をして言った
「お話を聞いていただきたいんですが」

 


キーは扉を見つめ上下に視線を走らせてから女を部屋に招き入れた