eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

天泣 15

 

 

 

 

 

キーが選んだレストランで
予約された席に案内される


キーが通る後に
チラチラとキーに目を向ける人が
幾人もいる事にハニは気がついた


スーツを着て歩くキーは美しく
品の良さ、育ちの良さ、堂々とした
社会的立場を醸し出し
人目を引いた

 

ハニがその事を言うと
「品…育ち、ね」

 

亀裂の入った眉にそっと触れ
そんな風に見えるなら嬉しいよと
キーはワインに口を付けた

 


「みんなが見ているのは君だよ」

 


テーブル越しに手を握られ
「とっても、、とっても綺麗だ」

 

 

 

「失礼、ハニさんじゃありませんか?」

 

握りあった手を離し
見上げた顔はケーキショップの
パティシエのジンだった


そして、ハニが淡く恋心を寄せていた
相手でもあった

 

頬が染まるのを感じたが
どうにも止まらなかった

 

「やっぱり…驚きました
ハニさん綺麗になられて

こちらは?」


ハニはキーを紹介した


二人は笑顔で握手を交わし
キーは同席を勧めた

連れが来るまでの間、とジンは
キーとハニの間に座り
ワインを追加し乾杯した

ジンはケーキショップ時代のハニとの
思い出話を面白おかしく話し
ハニは相槌をうち
キーは
ニコニコとして聞いていた


「ハニさん、覚えてますか?
あの時...」


思い出話に花が咲き
キーの知らないエピソードが次々と披露される


「しかし、ハニさんが急に辞めちゃったから店は寂しかったんですよ」

 


キーの眉がピクリと動いた

 

「結婚されていたなんて
びっくりだなあ」

 

ジンはキーに名刺を求め
キーは快く交換した


最後にキーと握手をし
ハニには軽くお辞儀をして
ジンは離れていった

 


カチャカチャと
食器の触れ合う音

囁くような会話

 

静寂に包まれた二人のテーブルに
それらの音だけが
通り過ぎていった

 


「ハニ、好きだったんだね」

 

 

レストランの仄暗い照明の下で
キーは笑っていた

 

ナイフを手に取り
目の前にかざす

 

灯りを受けてナイフがきらりと光る

 

 

「キーさん、違います」 

 

 

ナイフをゆっくり戻し

 

「そう?」

 

 

「そうです、違います」

 

 


ハニはまた、嘘をついていた

 

 

 


しかし、どう答えれば良かったのだろう

 

ハニには正解がわからなかった