eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

メビウス 11 懺悔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…テミン、青池施設を覚えてるか?」

「覚えてるけど、はっきりじゃないな」


「テミンはあの時まだ5歳位だったもんな」


「また、行きたい場所では無いね」


「そうだな…
だけど、これから行くのは
青池施設だ

ジンギが青池施設と絡んでいる
確かめてみたいんだ」


「電話で聞けば?」


「…テミン君~
電話でプライベートな事を
ペラペラしゃべる奴がいるか?
顔を見て話す事が大事なんだ」


「わ!かっ!て!るぅ!
じゃ、行きますよ」


走る車の中から施設に電話をかけ
訪問したい旨を伝えた
電話を切るとテミンに話しかけた

 


「前にお世話になった先生が
今は施設長になって残っている


ところで、さっき何か伝えようと
してたよな、
あれは何だったの?」


「キーヒョン、頑張れ気をつけて!って
言ってたんだよ!わかるでしょ?」


「…そんな事だったの?」

 


キーは横目でテミンを見て
がっくりしていた

 

 

 

 


施設から離れた場所に車を停め
テミンは車で待つよう指示をした

 

 


キーはかつて自分が
暮らしていた施設を眺めた


小さな遊具が何個かある庭
大きな下駄箱が並ぶ狭い玄関
色あせた壁紙

 


何もかもが子供の頃の
記憶を呼び覚ます景色であり
内蔵が縮むような気分の悪さに襲われた

 

 


「先生、お久しぶりです
ご無沙汰してしまい
申し訳ありませんでした」

 

 


「よく、来てくれたわね
さあ、顔を見せて…
立派になって…
あなたの顔に全て現れていますよ


それに、ここがあなたにとって
辛い場所であった事は
私にはわかっています」

 


「先生…僕は」
しかし、その先が言えなかった

 

 


「…いいんです、わかっています
私の方でもあなたに話さなければならない事が起きました


でも、まずはあなたの話から
伺いましょうね
さあ、聞きたいこととは何ですか?」

 


2人は簡素な職員用の椅子に腰掛けた

 


窓ガラスには室内の照明が反射し
灯りに引き寄せられた大きな蛾と
小さな蛾が絡まり合いながら
パタパタとガラスに体をぶつけていた

 

 


「…はい昔、僕と…僕達と一緒に暮らしていた子供たちの事です」
キーは胸の鼓動が早まるのを感じながら言った

 

 


「先生はジンギという名前にお心当たりはありますか?」

 

 


「まあ、キー
キボム 
もちろんですよ
ジンギとはオニュの事でしょう?」

 

 

 


その言葉が脳を貫くのを感じたが
キーは身動きが取れなかった

 

 


「オニュの事に関係があるお話なのかしら


私が話しておきたい事と
共通しているかもしれません
話すべき時が来ました


長くなりますがお話しましょう」

 

 


「オニュがこの施設に来たのは
8歳の頃だったと思います


年齢と体に見合わない
魂の宿る目をした子でした


物静かな内省的な子供でしたが
激しい気性も持ち合わせていて
辛い目にあいました。
私がもっと庇ってあげられていたら…


今でもあの子が苦しんでいたとしたら私のせいです


私はこの施設を守るためという建前で
何も出来ない傍観者でした」

 

 


施設長は話し始めた

 

 

 


ジンギは周りと距離を取り
他人を優先させる子供でした


人の心の機微に聡い子で
泣いている子供がいると
そっとそばに座り
泣き止むまでただ寄り添っているのを
何度か見た事があります


ジンギの柔らかな笑顔をみた子供たちが
いつしかオニュと呼ぶようになりました


オニュと同時期に入所してきた
子供たちは5人いました


ジョンヒョン ミノ テミン
そして、あなた キー


そして、もう1人女の子がいました


あなた方は寄ると触ると喧嘩して 
だけれど、離れていると寂しいのか
いつも固まっていました

 


あなた方がここに来てしばらくたった頃でしたね


新しい施設長が赴任してきました


あの方は…
子供と暮らしていくには
愛と辛抱だという気の遠くなる方法よりも暴力と恐怖で支配しようとする方でした

 


それは職員にも同様で
子供たちの失敗は私どもの失敗として、
ためらいなく暴力をふるい
恐ろしい暴言を吐き
激しい恐怖を私どもに植えつけました


規律で縛り、私たちは異常さに
気がつかない間に取り込まれていました

 


事件がそのような時に起こったのです


あなたとテミンがトレーに乗せていた
食事をバランスを崩し2人で縺れ合い
床に落としてしまった事がありました

 

 


静寂の中、恐ろしい音を立てて
食器が転がる音がしました


あの方は、2人に近づき平手打ちをしようと手を振り上げました

 


その時オニュが飛び出して来たのです
立ちすくんでいるあなたとテミンの前に立ち、あの子は全身で怒っていました

 


ねえ、キー
オニュと呼ばれたあの子は、火のような一面もあったのですよ
人間は表面だけではわからない
たくさんの顔、善と悪も混在しているのです
私もそうでした 
いえ…
今もそれは、変わらない…

 

 

 

 

あの方はオニュの異様な怒りに圧倒されたのか振り上げた手を下ろしました

しかし、事の成り行きを見ている
他の子供たちの目に気が付いたのか
恐ろしい命令をあの子に言い渡しました

 

 

 

床に落ちた物をお前が全て食べろ
手を使わずに
這いつくばってお前が、食べるのだ

 

 

 

 

 

私は、止める事が出来なかった


あの子は私をちらりと見ました
ああ!私は…私は動けなかった!


私が動けないでいるのを見ると
あの子はその場にしゃがみ込みました


あの子が這いつくばり床を舐め
咀嚼していくのを止める事が出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私こそが本当の悪なのです
恐怖と権力に負けあの子を見捨てました

 

 

 

 

 

 

 

 

施設長は涙を流しながら話し続けた

 

 

 

 

 

 

 


淡々と床を舐め続けるオニュを見て
ジョンヒョンとミノとあなたは
オニュに飛びつき泣きながら
もうやめてと叫びました

 


テミンがあの方に
ごめんなさい、ごめんなさい
もう、やめさせてと
スカートを握った途端
あの方はテミンを振り払い
壁に激突させました


オニュは…
床に落ちた物を食べろと言われても
泣き顔も見せず
決して屈した様子を見せなかった、
オニュはそれを見て豹変しました

あの方に飛びかかり手と足の届く限り打ち付けました

あの方は、完全にタガがはずれてしまいました

 

 


オニュを押さえ付けると首を両手で締めつけ、オニュの顔色が変わっていくのを笑って見ていたのです

 

この後の事をあなた方は覚えているでしょうか?

 

 

 

その時あなた方は、、、あなたと ジョンヒョンとミノは同時に飛び出しました

一斉にあの方に飛びかかり突き倒したのです

 

 

床には先ほどの食事がばら撒かれていて滑りやすかったのです

 

 

 

あの方は突き飛ばされた拍子にテーブルに頭を打ち付け死んでいました