しゃいに兄弟の砂時計 63
十一月~冬林檎
ミノが仕事に行き
WE LOVE YOUオムレツを食べていると
ジョンヒョンが起きてきた
「…はよ~」
眠たげなジョンヒョンは
無愛想だった
「おはよ」
「…何?何笑ってますか」
「ん?笑ってる?」
「笑ってる。やらしい」
「ん~やらしい?」
「やらしい」
「ジョンヒョンく~ん
たまご、いる?」
「俺、パン食う」
「ミアネヨ~
パンは在庫終了致しました~」
パクッと口にパンを放り込み
オニュが笑った
「……は?」
「米ならアルヨ」
「いらない パンがいいの」
「ヨーグルトは?」
「やだ パンがいいの」
「ん~ミノに頼んどいたら?
帰りに買って来てって」
こたつの天板に突っ伏していた顔を
少しだけ見せて
「……オニュヒョン、してよ」
と、ジョンヒョンが言った
「ミアネヨ~
俺もう、行かなきゃ
ああ、美味しかった
まったね~」
んふっと吹き出しが出そうな笑顔で
オニュは立ち上がった
「……何 あのテンション…」
1人きりになったリビングで
ジョンヒョンはごろりと横になり
暖かなこたつで再び
眠気に襲われながら
ミノを探してトークを送った
[パンがない]
素っ気ないメッセージを
送信すると こたつ布団を首元まで
持ち上げ
居心地良く体勢を整えた
ピコン、と軽やかな着信音が耳元で鳴り
携帯を見る
[ ( ´•д•` ;) ]
頭がフル回転を始め
ジョンヒョンは飛び起きて
正座した
右手で口を抑え
目を見開く
困惑した顔文字の上には
自分が、送信した
[パンがない]
と、いうメッセージ
ジョンヒョンが
素っ気ないメッセージを
送った相手
それは
出版社でジョン担当の文芸編集者
マツ子さんだった