eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

しゃいに兄弟の砂時計 64

 

 

 

 


十一月~冬林檎

 

 


晴れて霞がかった青空が
陽の傾きとともに、
ゆっくりと淡いオレンジに変わる

その空の向こうには
輝き始めたばかりの月が
白く浮かんでいた

 


木枯らしが地表を吹き渡り
人々の上着をはためかせる


そんなある、夕暮れ時
駅前のファストフード店
女子高生二人がカウンター席に座り
忙しげな雑踏を
ガラス越しに眺めながら
化粧に没頭していた

 

「ってかさ
あいつ、昨日あたしに告ってきた奴じゃん」


「あっ!本当だ!
呪文かけといたるわ!
メラゾーマ!」


「爆発しろ!」


ルカニで守備力ダウンさせて
ベキラマからの暴れ斬りで
スキルフィニッシュ!」


「蒸発コース!」


「えくすぺくとぱとろーなあむ!」


「待て待て
守護霊呼んでどーするよ」


「てへへ
言いたかっただけ
ちょ!見て!あの人ヤバくない?」

 


バスロータリーの一角に
雑踏の中でも一際、
目がいく男が佇んでいた

 

 


男は足首まで
届きそうな柔らかなコートに
黒のつば広帽子で
首元のぐるぐる巻きにした
マフラーに顎をうずめ
携帯を見ていた


その顔立ちは美しく
冷たく理知的に見える眼差しを
携帯に向けている


しかし、その理知的な顔は
ファン、と柔らかなクラクションの音に
顔を上げ
タクシーの運転席から
手を振る男を見て
面立ちが一変した


冷たく思える程
整っていた目元は、みかんの房のように
くにゃりと曲がり
何やら早口に話す口元は
無邪気さに溢れた


帽子を押さえながら
助手席に乗り込んだ男を乗せ
タクシーはロータリーを周り
女子高生達が座るカウンター席の前を
通過していった

 


「ああ~、イケメンが
行っちゃうよ~」


「ちょ!!見て!ドアから!」


「あ!!
やばいやばい!大丈夫かな!」

 


助手席のドアから男のロングコートの
裾と細長い紐がはみ出しており
それはピラピラと危険を孕みながら
アスファルトに叩きつけられていた

 

信号で止まったタクシーに
商店街の店主が駆け寄り
身振り手振り話しかけている

 

助手席の扉が開き
はみ出ていた布地は無事
車内に落ち着いた

信号が変わり
男は窓から顔を出して
笑顔で手を振っていた


「...はぁっ
なんじゃ、あれは、、、」


「...イケメン、、だったよね!?」


「多分、、、
なんかそんなのぶっ飛ぶ
インパクトだったよ~」


「いや~商店街のおじさん ナイスだわ」


「え、ソコ?
まあ、確かに...
あれ、八百屋のおじさんじゃない?」

 

「マジで?
八百屋のおじさんに30点!」

 

「マクゴナガル先生か!
でもさあ、タクシーの運転手も
イケメンじゃなかった?」


「マジで?あんたの可動域
どんだけよ」


「かどういきって、なんか違くない?」

 

女子高生二人は
窓から目を戻し
再び終わりのない会話へと
戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実話ベースです^^;
ムソクたんもやってましたが
私も、経験者です

親切なおば様が指摘して下さいました
おほほほ