待ち合わせ 12
オニュは
ぼんやり座り続けていた
「おい」
ビクッと背中を強張らせ立ち上がったオニュは
「働く場所を探しています
お願いです、歌わせて下さい」
深く深くお辞儀をしてお願いした
歌なんかに金が払えるかと
つまみ出されるだろうと思っていた
「顔、見せてみなよ 兄ちゃんさ」
ゆっくりと頭をあげカウンターの中の
男をみた
ふーんと小さく呟いて
カウンターから出て近づいてくる
「いいよ 雇ってやるよ」
望んでいた言葉に目眩を感じるような
喜びを感じ
オニュは仕事を手に入れた