eggonewのブログ

SHINeeオニュ的な

ゴースト〜テミン

 

 

 

 


テミンは放課後の教室で友達と騒いでいた

 

明日のテストの事
今ハマっているゲーム
昨日見たテレビの話
目立つ女の子の話


ついていける話題もあり
何が楽しいのかわからない時もあった


「あー、俺、用事あるから
先帰るわ

またな」

1人先に教室を出たテミンは
忘れ物に気が付き踵を返した

教室の扉に手をかけようとした時
自分の名前が聞こえてきた

「…今度の日曜日?
いいよ!行こーぜ、遊園地!
テミンはどうする?」

「や、あいつは、いいっしょ

正直、なんか、俺らといても
ハマってないよな
なんか、気、使うっつーかさ」


「あいつ、いいやつだよ」

「それは、わかってるよ
だけどさ、なんか違うだろ
俺らとさ そー感じない?」

「…ん、まあ…それは、確かに」

 

テミンは扉から手を離し
ゆっくりと後ずさりし
そのまま校舎を出た


長い長い坂道を登り続けた


街を見下ろせる高台の歩道橋に着いた時
夕日が空を支配し
眩しくオレンジ色に街を染めていた


先ほど聞いた言葉がストンと胸に落ちてきた

俺はみんなと違うのか
みんなに気を遣わせていたのか

他人の目から見た自分を初めて知り
考え込んだ


しかし、
自分でも、薄々感じていた違和感を
素直に受け入れてもいた

ただ、今までの楽しかった記憶も
聞いてしまった言葉によって
上塗りされてしまい
憐れまれて付き合ってもらっていたようで
それが嫌だった

だが、それなら俺はどうしたらいいんだろう
明日から…
明日からどうしていけばいいんだろう

 

眩く、しかし、寂しげに
翳りながら沈んでいく夕日を見ながら
テミンは涙を浮かべた

街を見下ろすテミンの周囲で
空気がうごめき
優しく風が吹き抜け髪を撫でた


「…ああああああああーーーーーー!」

 

テミンは息の続く限り街に向かい叫び続けた

 

 

俺は俺だ

俺は自分が好きだ


それでいいんだ

 


その想いがテミンの内面を暖かく照らし出し
微笑んでいた
パンパンっと両手で頬を叩き 大丈夫
俺は大丈夫
そう思っていた

テミンは灯りが瞬き出した街をもう一度
見下ろしてから
歩き出した
胸に灯りを感じながら
長い長い坂道を下って行った